はりねずみ通信
2017.05.22
ぶれる
「○○さんって、ムジュンしてる」
といわれると、褒められたと思う人はいない。考え方が首尾一貫していないことは、よくないと言われる。逆に「ブレない」ことが推奨される世の中である。
ところが、自分自身を振り返ってみると、かなりぶれていることがわかる。
好きな音楽を例にとると、「ほんとに同じ人格か」と思うほど変遷している。
たとえば、マーラーの交響曲は、学生の頃は「かっこいいな」とは思ったが、のめり込むほど好きではなかった。
オーケストラ部にいたので、周りには音楽好きが集まっている。「マーラーはすごくいい。特にバーンスタイン指揮の演奏は最高」という人がいたが、私は何度聞いても猥雑な印象で好きになれなかった。
しかし・・。最近、昔買ってあったバーンスタインのマーラー交響曲全集を端から聴いているのだが、これがすごくよいのだ。
彼自身「指揮していると、この曲は自分が作曲したんじゃないかと思うことがある」と言っているように、あらゆる表現の極みのような演奏なのである。
だけど私は全集のうち有名な第1番、2番、5番くらいを聴いただけで、タンスにしまっていた。
もったいない・・。それが正直な感想である。昔は何を考えていたのか。
それで考えたのだが、特に若い人に伝えたいのはこういうこと。
「今、面白くない、好きではないと思えることも、数年すると気持ちが変わることもある。理解できない自分が悪いのかもしれないので、とりあえず保留を」
自分で自分を決めつけてレッテルを貼ってしまうこと(これがつまりブレないということ)ほど、もったいないことはない。
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