はりねずみ通信

2016.03.08

「久しぶりの来院」

診察室に動物と飼い主さんを招き入れる前に、カルテを読む。
そのとき、まだ診察もしていないのに胸騒ぎがすることがある。それは、「久しぶりの来院」である。
4−5年来院されていなかった方のカルテに、
「2−3日前から食欲がない」
などと書かれていると、ほとんどの場合が重症である。
これに対し、毎月のように診察している動物であれば、同じ主訴でも胸騒ぎはしない。

なぜ、この法則が当たるのか。自分でもよくわからない。
仮説であるが、おそらくこうではないか。
動物の体調は一定ではない。1年に一度くらいは、少し体調がおかしくなることがある。
ちょっと吐いたり、下痢をしたり。
皮膚に湿疹ができた。しこりがある。歯が悪い、目がおかしい・・。
「私は心配性だから、一応診てもらおうと思って」
そう言われて来院される方は、多くの場合、動物をよく観察しておられる。また、動物をよく触られている。
ときおり、「よくこんな小さなしこりを見つけられたなあ」と舌を巻くことがある。犬の腋の下にある皮下の粟粒くらいの腫瘤をみつけ、大丈夫でしょうか?と訊ねられる方は、よほど動物を触っている人である。
このように、よく来院される方ほど、動物との距離が近く、異常を早く察知される。

これに対し、数年間来院がない方は、全員ではないとしても、動物とふれ合う機会が少ないように思う。ご自身がお忙しかったり、家庭のいろいろなできごとによって、動物の様子までなかなか目が届かない。動物が重症であっても、気がついていないことがある。

自ら体調不良を言えない動物たちなので、普段からの観察はやはり重要である。
1年以上「なにもなかった」場合は、ひょっとすると動物への関心が低下していたり、ご自身がとても忙しかったり、他の心配事に気をとられているから・・かもしれない。

身近な小さい存在(大きいときもあるけれど)に目を向けてほしい、と思う。

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こねこ

1件のコメント

  • 本当にそうですね 9月にごんちゃんの病名がわかり約半年 週一回通院して

    思うに15歳の間でこの半年ほどごんちゃん中心の生活を注意深く観察して 

    送ってみて 今まで以上に行動 表情が日々発見です がんばれ1日でも長き 
    してほしいと願っています 角谷先生もうじきお別れですね

    • ごんママさん、ぼくもずっとゴンちゃんの様子を観察していて、いきいきとした表情に驚いています。
      がんばれ、ごんちゃん!!

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