はりねずみ通信
2017.03.09
雑誌掲載2
MVMという雑誌に、私たちの研究会の記事が掲載された話を昨日書いた。
一般の方にはわかりにくいかもしれないが、この雑誌の見所(みどころ)について少し書きたい。
私は内視鏡外科をはじめた当初、「傷が小さい」「動物の負担が少ない」ということがこの治療法の最大の利点だと考えていた。それは今でも正しいと思っている。
しかし、研究会を通して、それだけではない大きなメリットに気がついた。「目を開かれた」という表現が適切かもしれない。大げさかもしれないが、獣医人生のターニングポイントになったのである。
動物の体は、いくつもの臓器で構成されている。肝臓や腎臓などの臓器が集合して構築されているのが「からだ」である。それらは、血管やリンパ管、神経などで連絡されていて、ひとつの生き物として機能している。
従来、病気になったときは、病気の臓器にアプローチし、切除したり、つなげたり、経路を変更したりしてきた。大まかに言えば外科治療のすべてはそこに帰結する。
ところが、内視鏡外科では局所を拡大して手術を行うので、いままで見えなかった構造が見えるようになった。それが「膜(まく)」である。
先ほど述べた臓器は、すべて由来のある膜に接している。それを正しく理解し、膜構造を把握しながら行う手術。それを行うことのできる手法が、内視鏡外科なのだ。
従来の手術法は、多少の出血を伴いながら膜構造を無視して進められてきた。それによって、実は目に見えない構造を「壊してきた」のである。膜と膜の間の層(レイヤー)を把握しながら手術をすると、まったく出血しないだけでなく組織への損傷が最低限になるのだ。
内視鏡外科を通じて、それを理解することができた。
すると、一般の開腹手術もクオリティーがまったく変わってしまった。(見えないかもしれないが)膜を意識して剥離や切開を行うことで、より組織侵襲の少ない外科手術ができるようになったのである。
その詳細を明らかにしたのが、今回の特集(3月号、胆嚢編)である。5月号の「副腎編」も期待していただきたい。副腎編はさらにすごく、副腎周囲の血管や神経叢などの微細解剖をディスカッションしているときは、本当に興奮した。「わお!」と叫びそうになった。獣医医療ではおそらく世界でだれも見たことがない世界なのだ。
くじけず、続けてきてよかった。
一緒に学べる仲間がいて、ほんとうによかった。
2件のコメント
すごいですね(*>∀<*)
皆さん、すてきな笑顔で、先生はセンターですね。
志しを共にする勇者達ですね。
この間は失礼しました。今週は母親を病院やらと色々と忙しくて、先生の説明もボーッとしか聞いてなくて、反省してます。
レックスの耳の手術、よろしく本当によろしくお願いします。
考えだしたら、もう今すぐにでも先生に会って、少しでもはやくお願いしたい気持ちになってる私です。
どうかよろしくお願いします。
レックスさん、いちおうこの会の代表世話役をやっています(^^)
レックスの耳の手術は、長い目で見れば必要かもしれませんね。また相談しましょうね。
ありがとうございます。
よろしくお願いします。