はりねずみ通信
2016.07.06
腹腔鏡下胆嚢摘出
昨日、トイプードル、5歳、体重1.4kgの腹腔鏡下胆嚢摘出を行った。
閉塞性黄疸のため、他施設で治療中だったが、低体重のため外科手術が困難であるとのことだった。当院へ来院したときは、低血糖で虚脱状態だったため、4日間の内科的治療の後、昨日手術をした。
助手用ポート1ヵ所を含み、4ポートで手術を行った。
胆嚢は横隔膜・大網と高度に癒着していた。癒着を剥がしてゆくと、胆嚢の数カ所に穿孔部分があり、何度も破裂と癒着を繰り返していたことが推察された。肝臓漿膜との間に、蓄膿も見られた。
超音波凝固切開装置で胆嚢を肝臓から丁寧に剥離していき、胆嚢漏斗部周囲の癒着を剥がすと、胆嚢管から総胆管への解剖が明らかになる(これでうまくいくことを確信した)。
胆嚢管周囲を剥離し、胆嚢管の半周に切開を加え5Frのアトムチューブを挿入。胆管洗浄の後、Cアーム透視下で疎通を確認する。うまく流れてくれた。
胆嚢管を結紮後、胆嚢を切離し、回収袋に入れて体外へ取り出す。肝生検の後、腹腔洗浄とJVACドレーン留置し手術を終了する。実手術時間は1.5時間であった。
夕方に飼い主さんが面会に来たとき、麻酔直後にもかかわらず、立ち上がって手前にやってきた。
午後の遅めの時間には、与えた食事も完食した。
あとは、経過がいいことを祈りたい。
写真1 ヘッドセットマイクで天井スピーカーから声が出るようになっている。マスクをしていると指示が伝わりにくいので。
写真2 カメラ係、助手、外回りなど、複数の人数が必要である。
写真3 胆嚢摘出ではじめて4Kシステムを使う。5mmの光学視管でも、驚くほど精細な画質である。
画像は立体的な印象。オートフォーカスも、手元操作できる光学ズームも、本当にありがたかった。
3件のコメント
今日になってやっと先生の通信を見るゆとりができました❗本当に本当に感謝の言葉しかありません。私は2チワとあん
途中になってしまってすみません
アンの3ワンを飼っています、みんな1キロ台の小さい子です。私はこの子たちは病気になれば手術には耐えられないから亡くなると思っていました。でも現実にアンがこんなに酷い病気になり私のところに帰ってこないかもしれないという現実に行き当たり初めて何とかして助けたい、助ける方法はないのか?って、悲しみとともに悩み苦しみました。そして金井先生をお友達のフランちゃんのママさんからご紹介頂きお尋ねし先生のご説明を聴いてもしかしたら助かるのかもしれないと迷うことなく連れてこれました。ただもう少し早く来ていればという思いはぬぐいきれませんがギリギリ本当にギリギリであの子は先生のお世話になれたのかと思います❗退院できるまでもう少し宜しくお願いします。そして家にいるお姉ちゃんの2チワワも是非健康診断お願いします
アンママさん、アンちゃんは小さいからだでよく頑張りました。もともと食が細いようですが、昨夜の食事も今朝までにほぼ完食していましたよ。
もうちょっとです(^^)
新幹線の中からコメントお便り中です。
暑さ厳しくなって参りましたが、お元気そうで
はりねず通信まとめ読み読者は嬉しいです。
人の腹空鏡手術の光景と一緒で!ビックリ。
4Kというのもスゴイ!患者さんと、その
ご家族が享受するものは大きいですね。
画像が鮮明ゆえに手術して発見なんて事も
出てくるのでしょうか?
術者・助手・患者の皆さんが懸命に取り組
まれる神聖な場。情報と状況をオープンに
されている所も、知識が圧倒的に少ない患者
には有り難いことだと思います。
新幹線のアンケートに協力したら、ハガキと
ボールペンを頂きました。初めてです!
とらさん、お元気ですか?
動物の身体はとても小さいけれど、拡大すると皆同じなんです(ネズミも大型犬も!)。
人間の脳は相似形にはつよい(小さい絵はがきの風景を見て、雄大な山脈を想像できるように・・)ので、それを生かしたいです(^^)