はりねずみ通信

2018.03.16

腹腔鏡下胆嚢摘出術2

腹腔鏡で胆嚢摘出を行う上で、一番留意していることはやはり安全性である。
開腹手術と比較し、安全性に劣るようであれば存在意義さえ問われる。

当院で2008年以前に行っていた開腹下の胆嚢摘出術と、2008年以降に行った腹腔鏡下胆嚢摘出術とを比較すると、手術の合併症や死亡率は腹腔鏡のほうが勝っていた(統計的に有意差があった)。

もうひとつ重要視していたのは、開腹手術で行っていることはすべて腹腔鏡下でも行えるようにする、ということである。
長い鉗子を用いて、モニターを見ながら行う手術なので、普通の手術に比べスムーズに進まない。
外科に必要な基本手技である「切る」「剥離する」「縫う」などの動作が同等にできないと、手術の質が下がってしまう。

また、術中胆管造影は「胆嚢管の半周をハサミで切り、そこからカテーテルを入れて造影剤を流す」という行為であるが、開腹術と同様に腹腔鏡下でもできなくてはならない。

こういったことには必ずトレーニングが必要なので、これから始める人には敷居が高いかもしれない。そして、トレーニングしたらできるというものでもなく、膜の解剖の理解、組織の扱い方、狭い場所での鉗子操作の手技、正しいカウンタートラクションの理解、いろいろなケースでトラブルシューティングができること・・など、そこから先に難しい課題が待っている。

でも、ちょっと練習しただけで観客を感動させるピアノが弾けないように、どんなことにも修練が必要である。
本気でするならば、活路は見いだせるはず。

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まだよるはさむい

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