はりねずみ通信
2017.04.11
胆石
犬や猫の胆石症は、まれに見る疾患である。
なぜ胆石が形成されるか、詳しいことはわかっていない。多くの場合、胆嚢の感染を伴うことから、胆石が作られる背景に細菌感染が関わっていると考えられている。私見であるが、十二指腸乳頭(胆汁が十二指腸に流れる出口)の機能異常や奇形が関与するようである。
健康診断でレントゲン撮影やエコー検査をしたとき、偶発的に発見されることも多い。
見つかった胆石を治療すべきかどうか、獣医師は悩むことになる。
人の場合は、胆石があるからといってすぐ手術が行われる訳ではない。
疼痛発作を繰り返すなど、臨床症状が大きい場合に手術(胆嚢摘出)が提案される。
ところが、動物はあまり臨床症状を示さない。
昨日診察したウエルシュ・コルギーは、後躯麻痺の診断のためレントゲンを撮ったところ、大きな胆石(ほとんど胆嚢と同じ大きさ)が認められた。
「症状はありますか?」
と訊ねると、まったくない、とのこと。
先日書いた、トイ・プードルのポルチェちゃんは、数ヶ月前から胆石の存在を指摘され、最近腹部の痛みが強くなったために紹介で来院した。検査すると、胆嚢内に石が充満していたため、腹腔鏡下で胆嚢摘出を行った。
周囲の癒着も強く、手術は難渋したが、無事終わった。
昨日抜糸に来院したが、とても元気になった、とのことである。
動物は「痛い」と言わないので、いつ手術に踏み切るかは本当に難しい。
けれど、多くの場合、手術する段階では相当に炎症が進行している。
十分な問診や身体検査や画像診断の結果を基に、比較的(現在一般に行われている手術のタイミングに比べ、という意味で)早期の手術が望ましいのではないか。
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