はりねずみ通信

2018.01.18

胆嚢摘出

動物は胆嚢の病気が非常に多い。
ゼリー状の粘液がたまる粘液嚢腫、細菌感染などによる胆嚢炎、胆嚢結石などが主な疾患である。

治療は胆嚢摘出になることが多い。胆嚢は摘出しても問題がない臓器と考えられているので、薬で改善しない場合は手術により「取ってしまう」ことが原因の解決になる。

人では85%が腹腔鏡下で行われている(残り15%は開腹術)。
胆嚢は腹腔の奥の方、つまり横隔膜の近くの奥まった場所にあるので、お腹を開けて上から見るより、カメラ(筒状のもの)を入れて下から見上げるようにしたほうがよく見える。胆管の繊細な構造を丁寧に手術するには、よい視野が必要なので、腹腔鏡のほうが有利なためである。

ところが、動物医療ではほとんどの場合開腹術で行われる。
これには理由がある。
動物のからだは小さいので、いろいろなハードルがあるから、である(これを書き始めるとすぐに10ページ以上のレポートが書ける)。
けれど、きちんとした方法で行うと、開腹術より手術成績は向上する。
当院で過去に行った開腹術の胆嚢摘出と近年行っている腹腔鏡下胆嚢摘出術(約90例)を比較すると、腹腔鏡で行ったほうが治癒率は高くなることがわかった。

動物では体格もさまざま、病態もいろいろなため、課題はまだまだ多い。
でもこの方法が確立すれば、治療が遅れがちだった動物の胆嚢疾患の早期治療につながり、死亡率の高いこの病気の突破口になると信じている。

年末年始は、ずーっと術式の問題点を考えてすごしたのだった。

IMG_7720
昨日、腹腔鏡下胆嚢摘出をしたチワワのハナちゃんの今朝の様子。
昨夜も食事をよく食べていた。がんばったね!

 

 

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