はりねずみ通信
2016.11.16
猫の命は7つある
1歳の猫のアルちゃんは、小さい頃からなんとなく体が弱い感じだったとのこと。
このたび呼吸困難で来院したのだが、検査の結果、横隔膜ヘルニアであることがわかった。
交通事故などの病歴がないので、おそらく先天的なものか、子猫の時に外傷によって引き起こされたものと推測された。腹部と胸部を隔てる横隔膜に穴が開き、そこから腹部の臓器が胸腔内に入り込む。その結果、肺を圧迫して呼吸困難を起こすのである。
アルちゃんの場合は、レントゲン上、肺の拡張が極めて乏しく、5分の1以下の肺容積でなんとか呼吸しているような状態であった。
昨日手術した。
十分な酸素吸入のあと、すばやく挿管したが、それでも痲酔初期は酸素飽和度が十分に保てない。機械による調節呼吸に加え、用手によるバギングも行ってなんとか呼吸を維持した。
開腹し、横隔膜を確認すると、強い癒着があった。少しずつ剥離し、横隔膜の孔を確認後、慎重に胸腔内の臓器を腹部に戻す。
胃、小腸のほぼ全部、大腸の一部、脾臓、ほぼすべての大網が胸腔内に存在していたので、それらをぜんぶ引き出し、横隔膜を整復した。
その後、再拡張性肺水腫を予防するため、肺をあまり拡張させずに閉胸する。
手術は無事終わった。
これほどの状態で生きておられたこと、麻酔を乗り越えられたことは、信じがたいように思えた。胸腔内から大量の臓器を引き出すとき、手術に慣れた看護師ですら感嘆の声を上げたほど。
もっと驚くことには、昨日の夜食事を与えると、普通に食べるのである。
何かの本に「猫の命は7つある」と書かれていた。
それは本当かもしれない。
2件のコメント
アルちゃんの手術無事に終わって良かったです
うちの猫たちは障子を破って障害物競走のように走り回っていますが健康が一番だと改めて思いました
知琉ママさん、コメントありがとうございます!
元気すぎて困ることがあっても、やっぱり健康が第一、ですね(^^)
お久しぶりです(^^)
命のドラマ、素晴らしいですね!
カレンダーありがとうございました。
私も100年続く会社を目指して、移転OPENでバタバタでした
ゆっくりしたら、LOVEと伺いますね(^0^)v
LOVEさん、お久しぶりです。100年会社、いいですね。いろいろ大変かと思いますが、がんばってくださいね!