はりねずみ通信

2018.08.25

猫と仲良くなる

中足骨(足の甲)4本を全部骨折した猫のモモちゃんは、紹介で来院した。
飼い主のAさんがモモちゃんを連れてはじめて来院したとき、こう言われた。
「麻酔をかけないと触れないと思います」

きくと、動物病院へ行くたびに鎮静処置をしていた、とのこと。
そういうことは、時折ある。人間に対して、警戒心が強い猫は、触ることすらできない。
けれど、プラスチックケージに入っているももちゃんを見て、私は大丈夫だと思った。

そこで普通にケージから出して抱き上げ、身体検査をした。
前の施設で外固定をしていたので、後ろ足には包帯が巻いてある。全身状態は良好だった。

「信じられません!」
とAさんは言った。動物病院で獣医師に普通に診察されることはない、と思っていたそうだ。

別の日に、ももちゃんの中足骨骨折を、タイプ2の創外固定術で手術した。

昨日、再診があった。
Aさん。
「前回は、骨折して弱っていたので触らせたけど、今回は無理だと思います。すっかり元気になったので」
もう普通に足を使って、高いところへもジャンプできるようになったとのこと。
「大丈夫だとおもいますけど」
私はももちゃんをふわりと抱いて、そのままレントゲン室へ行き、2方向のレントゲンを撮って、またももちゃんをケージに戻した。
「先生すごい。奇跡です!」

やや種明かしがある。
やはり警戒心が強い猫は、扱いがむずかしい。手術をしたあとは、また触れなくなってしまう可能性があった。
そこで私は、手術の前後に入院室へ通い、ももちゃんとちょっと仲良くなっていたのである。

動物はこちらの恐怖心を瞬間に察知する。
人間の手の微妙な動きや、全身の仕草を、とてもよく観察している。
だから力を抜いて接すればいい。

私はたぶんライオンの前でもそれはできると思う。

IMG_8577
くつろぎたいむ

 

1件のコメント

  • 先生!

    先生の治療を待ってるワンちゃんネコちゃん達の為にも
    絶対にライオンやトラは思いとどまってください!!!!!!!!!!!(笑)

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