はりねずみ通信
2015.11.19
犬や猫の乳び胸手術について
神戸動植物専門学校から実習に来ている白井さんは、来春から当院で働く予定である。
実習期間の2週間は、来年のための準備でもある。
全く偶然なのだが、この2週間の間に「乳び胸」の手術が3件あった。もともと稀な疾患なので、一定期間に続くのはほんとうに不思議である。
白井さんは乳び胸がよくある病気だと思っているかもしれない。しかし、通常はひとりの獣医師が一生のうちに数回出会うかどうか、という疾患である。
乳び胸については、旧はりねずみ通信にも書いたので、関心がある方は検索していただければと思う。
当院では胸腔鏡を用いた方法で手術を行っている。
手術の手法についてはすでに定型化していて、以下のような手順である。
・肛門粘膜から造影剤を注射し、CT胸管造影を行って胸管の位置を確認(これはとても簡単な手法なので、地元の動物病院で行っていただくこともある)
・動物を仰臥位にして、剣状突起下のアプローチで胸腔内にトロッカーを入れ、カメラで胸腔内を視認。左右の肋間から術者の操作用のトロッカーを1本ずつ入れ、心膜切除をする。
・つぎに、動物を側臥位にし、カメラポート、肋間ポート2つを新たに作成し、胸管結紮を行う。胸管結紮は、大動脈から剥離を開始し、上方の奇静脈の裏側まで剥離したあと、結紮術を行う(en-block法)。
・術後にもう一度造影CT検査をし、胸管の閉鎖を確認する。
動物の体に、5mmの傷を5−6箇所作るだけで、これらの手技を完遂できるので、動物の負担(侵襲)はきわめて低い。これまで10例前後(現在データをまとめているところ)の手術を行っているが、8割の動物で治癒(長期的な胸水のコントロールが可能になる)を得ている。手術そのものによる合併症も、ほとんど経験していない。
難しい病気ではあるが、この病気の治療法は年々進んでいる。
動物と飼い主さんに希望がもてるよう、今後情報を提供していきたいと思っている。
2件のコメント
今日はありがとうございました。
はりねずみ通信に、コメントのせるのもひさびさで。
毎朝、新聞みるまはなくても、はりねずみ通信だけはみないと、1日がはじまらない(笑)
今日、ハスキー犬のりゅうちゃんから教えてもらうまで気付かなかったです。
カードが使える事を。
カード払いがほとんどなので、うれしい情報です。
あーん、今日は、お金払ったあとでの情報だったので、おしかったです(笑)
でわでわ、2週間後また、よろしくです。
レックスさん、そうです、先頃からカードが使えるようになりました。連絡が不行き届きでしたね。次回から使って下さいね。
今日も一日、元気で過ごしましょう!
ハーイです。
今日も忙しい1日なんですが、元気でてきました。