はりねずみ通信
2015.10.19
深い話
昨日は、獣医内視鏡外科研究会の症例検討会が東京の日本獣医生命科学大学で行われたため、出かけてきた。
研究会では私も2題発表し、他の施設の発表も聴いて、なかなか充実した1日だったが、お昼ご飯の時間や、帰りの新幹線の中で、他の獣医師といろいろ話をするのも楽しかった。
みな、普段から内視鏡外科(腹腔鏡や胸腔鏡)に懸命に取り組んでいる獣医師ばかりである。手術の細かいディティールや、使う道具、さまざまなアイディア・・。いくらでも話がでてきて、話題は尽きることがない。
こういう話題は、スタッフともできるが、本当の意味での深い議論は実際に執刀している獣医師にしかわからない。ふだん苦労して行っているからこそ、ディープな話ができるのである。
内視鏡外科には普通の手術と異なる難しさがある。小型の動物で実際に行うと、そのたいへんさがよくわかるが、その苦労を乗り越えることで、得るものも大きい。動物の負担ははるかに減らすことができ、より精細な視野で確実な手術ができるようになる。
ところが、ふだん苦心している人ほど、孤独に陥りやすい。
まわりに相談相手もいないので、たまに会う「仲間」とは話が弾むのは当然かもしれない。
世の中にある学会や研究会は、学問や研究を進める目的も大きいが、「ふだん深い話をしたくてもできない人たち」が慰め合い、自分はひとりじゃないんだ、と確認する場所でもある。
そういう意味だけでいうと、オタクと何ら変わりはない。
しかし、この熱いエネルギー。何かに変換できないものか。
みなの熱い想いをつなげることで、すごいことができるのではないか。
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