はりねずみ通信
2017.04.20
教わったこと
人は役割によって変わる、と先日の記事で書いた。
すると友人の獣医師U先生が「自分も同じようなことを感じている」と連絡をくださった。
勤務医時代の時、院長先生は役割を与えることが上手だった、とのこと。
人にいろいろな「立場」を与える采配をすることで、その人を成功するよう導いてくれるところがあったそうだ。
それとは少し角度は違うが、私も勤務医時代の院長から大きな影響を受けている。
獣医医学の観点、というより、人間性、というべきかもしれない。
一番学んだことは、動物をよく観察する、ということである。
院長のK先生は、動物のわずかな違いや変化を見逃さなかった。歩き方のわずかな変化から、悪い関節を即座に言い当てたり、たくさんの子豚が走り回っている豚舎のなかで、病気の1匹を見つける。そういった洞察力に、私はいつも舌を巻いていた。
もうひとつは「たいがいたいがいにする」ということ。
なんでも突き詰めてしまわず、いい加減も大事である、と口癖のように言っておられた。いまでは獣医師の立場でこんなことを言うと、「きちんとしていない」と叱られるかもしれない。でも、私は考えすぎる傾向にあるので、時々思い出して肩の力を抜くことがある。
心の病気にならないのは、K先生のおかげである。
医療は日進月歩で進んでいるので、情報として教えてもらったことは、それほど残っていない。
けれど、こういった信条やドグマのようなものは、困ったときに私を助けてくれる。
私も、次の世代にそういった何かを残せるといい。
U先生の話を聞き、そんなことを考えた。
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