はりねずみ通信
2017.06.13
教えること
私がはじめてベートーベンの交響曲7番を聴いたのは、大学に入ってまもなく、友人が運転する車の中だった。
車には他にも何人か乗っていて、時間は朝だったので、たぶん皆で海でも見に行って下宿へ帰る途中だったのだろう。遊んで朝帰り、だったような。
車に朝日が差し込む。そこへ冒頭の弦楽器の四分音符とオーボエ。
「こんなに瑞々しい音楽があるんだ」
と、強い印象を受けた。だから、私の中ではこの曲は「朝の曲」なのである。いまでも、ベト7を聴くとシャンパン色の朝日が必ず脳裏に浮かぶのだ。
新人や研修の学生などが動物医療を学んでいくなか、彼らにさまざまなことを教える過程で、ちょっとそういうことを思い出す。
はじめて出会うことがらは、その人の生涯に大きな影響を与える可能性がある。
興味を持つきっかけになるか、自分には難しく関心が遠ざかるか。教える人は、その分水嶺に立っているといってもいい。
自分がそういった大切な役割を果たしてきたかどうか、やや心許ない。
ノミ取りの付け方ひとつ、動物の触れ方ひとつでも、入魂で教えたい・・って、若い人には迷惑か。
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