はりねずみ通信
2017.02.15
技術と美しさ
身の回りに技術がすきなひとが多い。
たとえば、今おつき合いのある大工さん(私の父ほどの年齢なのであるが)は、ドアや窓の付け替えの名人なのである。
ドアが傷んで取り替えるとする。普通は外壁を多めに壊し、新しいドアをはめ込んだあと、隙間を修繕する。
ところが大工のKさんは、新しいドアの大きさきっちりで壁を切り、ぴたっとはめ込むのだ。
工務店の若い人は、「とてもまねができない」と、舌を巻く。ぎりぎりのスペースに、どうやってドアをはめるか。独特のノウハウがあるようなのだが、だれも解明できないという。
そのほかにも、腹腔鏡のトレーニングボックスを作って下さるTさん、3DプリンタメーカーのHさん、ピアノ調律師のMさんなど、技術にこだわる人は多い。共通するのは、皆、ある美学をもっていることである。
その場合、人からどう見られるかは二の次で、「自分ができあがりの美しさに満足できるか」にかかっている。これくらいでいいですよ、と言っても、納得いくまで譲らないようなところがある。
同じことは外科手術にも言える。もちろん、結果がすべてであるが、多くの外科医が結果だけでなく、ある「美しさ」を求めていることは疑いようがない。
それが目的化することはよくないが、そういった意識が成果を支えている面は、確かにある、と思うのである。
0件のコメント