打診器 | はりねずみ通信| 姫路の動物病院かない動物病院

診察の時、よく使う道具に打診器がある。
トンカチのような形をしているが、強い力で使うことはなく、神経の反射を誘発するようなポイントを軽くたたいて、その反応を見るときに使う。

一番よく知られているのが膝蓋腱反射である。
身体を楽にした状態で、ひざのお皿の少し下をたたくと、下肢が無意識に前に動く。
ビタミンｂ１欠乏症の「脚気（かっけ）」の検査としても知られているが、私たち獣医師がよく行う理由は神経のチェックのためだ。

私たちの施設では椎間板ヘルニアをはじめ、さまざまな神経病の診断・治療をよくする。
最終診断はレントゲンやＣＴ・ＭＲＩ検査に頼るが（今週は4件ＭＲＩの検査が入っている）、どこに病変が局在するかは、打診器などを使う身体検査で相当に絞り込まれる。

だから、打診器はほんとうによく使う器具なのである。
（ここからが本題）
写真は打診器だが、ふつう両側にゴムが付いている。片方がなくなってしまった。

実は少し前、このゴムが床に落ちていた。
私はそれをみて、
「椅子の脚に付いているクッションかな？」
と思い、診察室のＰＣの横に置いておいた。
でも、そんなものが当てはまる椅子もない。何かのキャップか、蓋か・・。数日間、いろいろ想像をめぐらせたが思い当たるものがない。

数日後、あろうことか、私はその黒いゴム片をゴミ箱に捨ててしまった。考えても思い浮かばないので、きっとどこかからまぎれたゴミのようなものだろう。そう思ったのだ。

それで、先日打診器を使っていて、はじめて自分の不注意に気がついたのだった。
「あっ」
と思ったが、あとの祭り。

ふだん見慣れているものに気がつかなかった自分がはずかしい。

このゴムって、別売りしているのだろうか。