はりねずみ通信
2016.01.11
家族と動物
12月に肺の腫瘍を胸腔鏡で手術したOさんのラブラドールレトリバー、デイジーはすっかり元気になった。病理検査は肺腺癌だったが、孤立性の腫瘍で完全切除できている。経過はみなければならないが、大丈夫であろう。
「先生、デイジーを連れて海に行っていいですか?」
とOさんは言った。連れて行くのは夏だそうだが、
「もちろん、いいですよ」
と答えた。
そのために手術をしたのである。毎年行っていることが、今年もできる。本来なら当たり前のことだが、そういう予想ができることを、私も喜んだ。
昨年11月に、Fさんのご家族の話を書いた。
ミニチュア・ダックスフントのサクラちゃんを手術のために預かるとき、小学生の二人の息子さんが泣いてしまい、困った話である。
先週末、サクラは急に嘔吐をする、という主訴で来院した。
翌日からご家族で旅行をする予定になっていたため、検査と治療のためサクラは入院した。
ふたりの子どもたちは、その時は泣かなかった。
11月の手術で預かったときは、手術が終わったあと元気に退院したため、安心していたのだろう。
ところが、サクラは翌日様子が急変し、亡くなってしまったのである。
亡くなったサクラちゃんをお返しするとき、子どもたちはこらえるように静かに泣いた。
あんなに小さな子供が、声も出さずに泣いている様子をみると、私も胸がつかえて、声をかけることもできなかった。
私もちょうど彼らと同じ年頃に、大切にしていた小鳥を亡くした経験がある。
数日の間、食事も喉を通らず、泣いて過ごした。それを思い出したのである。
Fさんは、
「この子たちは、自分たちが生まれたときからサクラとずっと一緒にいたので・・」
と言われた。
それほど家族に愛されたサクラなので、どうか長く悲しまないでほしいと心から思う。
時間がかかってもサクラが天国に行ったことがわかるように。子どもたちのために祈った。
3件のコメント
さくらが大変お世話になりました。病院から連れて帰ってきて一晩いつもの場所で寝かせてやり、火葬場へと連れていきました。
子供達は先生の説明の時には声を余り発せずにいましたが、車にさくらを乗せた後シートに座ったとたん、しゃくり上げるように堪えていたものが溢れでたのか大泣きでした。
実は上の子が5歳で下の子が3歳です。
特に下の子は動物が大好きであるせいか、さくらとよく相手になって遊んでいました。
寂しさが込み上げてきたのでしょうね。
3歳での感情表現に私も驚かされました。
上の子はそこまで気にして無い様子を見せるのですが実はとても気にしてて、病院を出るとき、車に乗ったとき、“さくら、頑張って!”と大きな声でエールを送っていました。
いつもそれが届いて元気に私たちの元へ戻ってきてくれていたので、今回も預けるときそんなに気にしていませんでした。
最後に側にいてやれなかったこと本当に申し訳なくおもいます。
さくらは子供達にも本当に大変なことを沢山教えてくれました。生と死については、言葉で上手く伝わらないことをきちんと教えてくれたとおもいます。病院からの帰りにみんなで涙しながらお花を買って帰り子供達と綺麗に飾ってやりました。火葬場に連れていく最後まで幾度と棺を開けたかわかりません…
子供達もその都度声をかけていました。
さくらを大切に思ってくれていたその思いがとても嬉しかったです。
一番取り乱してしまったのは私ですが…
最後に抱いてあげれなかったこと、悔やんでも悔やみきれません。
結婚して直ぐに飼い初め、子供同然で過ごしてきました。
私達に子供が授かってからは子育て、仕事の両立が大変でさくらへの気配りも薄くなっていました。そんな私達にも優しく接してくれたのはいつもさくらの方でした。
未熟児で産まれたせいか病気はよくしました。そのたびに先生にはお世話になりました。
皮膚のアレルギーでは1か月に1回の診察で約10年間お世話になりました。
最後は胆嚢摘出を腹腔鏡でしていただき、その後食欲も戻って元気にしていました。
食欲にムラがあることもありましたが、少しでも身体も楽にしてやれたのかなぁ…ご飯を食べれるようになってよかったのかなぁ…なんて考えます。
最後は苦しむ様子なく息を引き取ったと聞いて少しはホッとしたものの、いろんな事が頭を巡り後悔も沢山あります。
子供達と何度も棺を開けて話をしたり、撫でてあげたりしました。何度も何度もごめんなさいと謝りました…何度も何度もありがとうと言いましたが…終わりは見つかりません。
子供達がお菓子を食べ初めるといそいそと側に来て、おこぼれ頂戴を狙っていました。下の子が食卓に座ると必ず足下にやって来て、ピッタリくっついて落ちてくるものを狙っていました。
子供達が朝起きると、お早う!と言わんばかりに寝ぼけた顔をなめに行っていました。
ご飯の時間には私に対して猛アピールで催促してきました。
そんなことももうないのですね…
さくらの身体は私たちの元から旅立ちましたが、霊はいつも側にいるとおもいます。
私達が、いつまで忘れず思っていることが一番の供養だと思います。
涙せず普通の暮らしに戻ることは時間がかかるとはおもいますが少しずつ前に進めたらと思います。
気持ちの整理ができていないまま書いたので乱文かもしれませんがお許しください。
最後に、かない先生をはじめ、処置をしてくださったスタッフの皆様にも本当に感謝いたします。さくらの眠るのような綺麗な様子からも一生懸命してくださったのがよくわかります、ありがとうございました。
もう、あの待ち合いに行くことも無いのか、先生とお話しすることも無いのか…なんて考えるのも寂しいです。
先生方も身体には気を付けて頑張ってください。ブログはこれからも拝見させていただきますね!
いつになるかわかりませんが、また気持ちも落ち着き、もし新しい家族を迎えられる時が訪れた際はお世話になりたいとおもいます♪
本当にありがとうございました。
さくらの母さん、さくらちゃんが亡くなってまだ気持ちの整理がつかない時期に、コメントを書いて下さったことをほんとうに感謝します。お子さんにとっても、とても辛いことだったと思います。
ぼくもサクラちゃんの思い出がたくさんあり、診察の時にはいつもしっぽを振って寄ってきてくれたことは忘れません。
どうか楽しかったときのことをたくさん思い出しながら、穏やかに過ごして欲しいです。
はりねずみ通信も続けて書いていきますので、読んで下さるとうれしいです。
寒い時期が続きますが、ご家族がお元気で過ごされるよう、おいのりしています。
さくらの母様
お辛いですね
子供さんも 小さいのに 病院では泣くのを我慢して 車の中で大泣きなんて,
でも さくらちゃんは 子供さんに 優しさとか 命の大切さとかいろんな大事な事を教えて 立派な仕事をしてから虹の橋に行ったんですね。
私も週1 かないさんに通っているので お会いしているかもしれませんね。
今は まだ辛くて 淋しくて何をしててもさくらちゃんの事しか 考えられないと思います。
悲しい時は 思いっきり泣いたらいいらしいです。
がくも 老犬なので 毎朝調子をみるのがドキドキです。
何時かは訪れる別れですが 私も覚悟はしているつもりですがぼろぼろになる様な気がして 泣く場所は一応決めています。
さくらちゃん みんなを幸せにしてあげて頑張って偉かったですね。
安らかに…
がく様、ありがとうございます。
きっと幾度となくお会いしていたことだと思いますが、さくらはいつもキャリーの中でした。
本当に泣いても泣いても涙が止まりません…
動物は自分達より先に逝くのは十分わかっておりそれなりの覚悟はできているつもりでした。そして自分の気持ちがここまで落ち込むとはおもっていなく、無くしてなお、さくらの存在の大きさに気づかされています。
小さい子どももおり日々の生活もあるので、いつまでもくよくよしててはさくらも心配してしまうとはわかっていてもなかなか気持ちが前を向こうとしません…
さくらのベットに顔を近づけるとさくらの匂いがし、そのスペースも片付けることが出来ません…
がくさんも、がくちゃんと毎日を大切に過ごしてください。
わたしも子ども達とさくらの話を沢山しながら天国のさくらが安心できるようになりたいと思います。
コメントくださりありがとうごさいます。