はりねずみ通信
2016.08.04
存続可能な技術
絶滅が危惧される動物(たとえばトキやパンダなど)について、最小存続可能個体数(Minimum Viable Popuration 、MVP)という概念がある。100〜1000年後、90〜95%生存する可能性がある個体数、と定義される。
これは個体の遺伝的状況や環境によっても異なるが、平均500〜1000個体だそうだ。
つまり、1000匹以下しかいない動物は、将来絶滅してしまう可能性が高いということ。
これを音楽に当てはめてみる。
多くの作曲家が、さまざまな曲を作曲する。けれど、すべての曲が演奏し続けられるわけではない。
ブラームスやモーツアルトの時代に生きた作曲家は数多くいたはずだが、現在でもコンサートで演奏される演目は限られている(著名な作曲家の曲でさえ、演奏されないものもある)。
「絶滅」せずに残る理由は、その曲が演奏され続けるにふさわしい、すぐれたものである必要がある。
それから、多くの人がその曲を支持し、演奏機会が多い、ということも重要だろう。
年間に○○回以上演奏されない曲は、絶滅する・・、というような数値はないと思うが、存続可能な演奏回数というものはあるはず。
医学に当てはめてみるとどうだろう。
ある技術が100〜1000年後に残るかどうか。たとえば、心臓バイパス手術は永久に残る技術だろうか。その手技を継承する人が一定以上いること、患者さんからの一定以上のニーズがあることが必須と思われる。
もし、より新しい方法が生まれれば(たとえば、再生医療で治療できるようになる、など)、その手法は廃れてしまうかもしれない。
そういうことを考えると、獣医医療で「自分だけができる」ような技術は、簡単に消滅してしまうに違いない。
少なくとも100年後もその治療法が生き残るためには、その手技を定型化し、一緒に行っていく獣医師が100名は必要ではないか。まず、10人の人がマスターし、次の世代に伝えていく。そういう「画策」も必要である。
もちろん、その手技が誰の目から見ても(獣医師や患者さんだけでなく、一般の人からみても)有効であることも必須だ。
・・という考えに基づき、「すぐれた技術をいかに広めるか」という方法論を模索している。
さまざまな練習法の確立、動画やネットを用いた広め方・・。
アイディアがあれば教えてください。
PLDD(経皮的レーザー椎間板除圧術)や腹腔鏡手術術式が、絶滅危惧手技、といわれないように・・。
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