はりねずみ通信
2016.04.25
動物たちによい治療
いろいろな治療に携わってきて、
「これはいい治療だ」
と思い、広めようとする。
獣医学分野では、論文を書いたり、学会で発表したり、雑誌に載せたり、という方法がある。でも、実際そうやってアプローチしても、具体的にはなかなか進まない。
なぜか。
いくつか壁があるからである。
物理的な壁と、心理的な壁がある。
物理的な点では、
・設備を整えるのが難しい
・技術のマスターができるかどうか心配
・コスト的に成り立つかどうか
などがある。
心理的には、
・その治療法が、本当に効果があるか疑問(今行っている方法で十分ではないか)
・エビデンスがない(新しい治療にはつきものであるが、有効である証拠が乏しい)
・そういう治療をはじめるには、現在の習慣を打破しなければならない・・
とくに最後の一つは、意外に重要であることに、最近気がついた。
たとえば、PLDD(経皮的レーザー椎間板除圧術)の場合。
Cアームもレーザー発生装置もあり、椎間板疾患も多い。そういう状況であれば、すぐにでもスタートできるように思う。
「最初にするときは協力するから、いつでも呼んでくださいね」
という。でも、なかなか声がかからない。
よくきいてみると、
手術室でCアームを動かそうと思ったら、手術台や壁に当たったりして操作できない。
とか、
いざしようとすると、スタッフが慣れていないので、時間がかかってしまう。
という、ちょっとした障壁が最初の一歩を妨げているようである。
新しい治療は自信がないので、飼い主さんに勧めにくい。
ということも聞く。
そこで考えたのは、
・私が獣医師の心の壁を「治療する」(なまいき、かも)
・実際治療を受けた飼い主さんからの生の声をできるだけ集め、公開する。
ということである。
動物が治って、元気に過ごしている様子を聞くと、私たち獣医師は「がんばろう」という気持ちになる。そういった動機も重要である。
また、3Dプリンタを応用した実習などで、実地の技術を学び、自信を持って取り組めることも大切である。
飼い主さんも獣医師も、動物の病気が治ることを一番に求めている。
(よく思うのだが、獣医師を幸せは、病気の動物を治すことで成就する。さらに動物の負担が少なければ、最高である。そのために獣医師になったのだから!)
そこをつないで、わくわくするような新しい未来をつくる架け橋になるのが、私の役割だと思っている。
1件のコメント
未来をつくる架け橋。
良い言葉ですね!
子供の頃を思い出しました。。
私が小学生の時に野良猫の頭から目にかけて
膿んでいるような、とても痛々しそうで・・
どうしても、ほっとけなくて、お小遣いの千円を
握り締めて動物病院の先生に「お薬を作って下さい」と
お願いをしに行った時にカイセン?の薬を調合して下さり「この薬を塗ってあげなさい。お金はいいです。
君がもし大人になって、動物関係のお仕事をする時に
少しでも、未来に架け橋を作って下さい」と言われました。子供心にとても感動して、「未来の架け橋」
その言葉が忘れられませんでした。(^-^)
(野良猫さんは、うちの猫になりました)
今日は、あんこがお世話になります。
明日元気な顔がを見るのが楽しみです。
宜しくお願いします。。
きなこさん、「未来の架け橋」っていい言葉ですよね。ペイ・フォワードですね。
あんこちゃんの手術は無事終わり、呼吸も安定してごはんもたべました(^^)