はりねずみ通信
2015.12.17
内視鏡外科学会
先日、内視鏡外科学会(人)に出かけたことは書いた。
動物の内視鏡外科研究会は、会員数が100名前後だと思うが、人間の内視鏡外科学会の会員数は1万人以上。規模がまったく違う。
呼吸器科、消化器科、産婦人科、泌尿器科・・など非常に多くの分野に内視鏡外科が取り入れられていて、新しい手法の研究や術式の標準化、トレーニング法の研究、器具の開発などが熱心に議論される。研究発表のレベルや、質疑応答もレベルが高い。
シンポジウムであれば、演者7−8人が6分発表、3分質問の時間が与えられ、短い時間で集中的な議論が交わされる。座長(司会者のようなもの)はそれを踏まえ、現状の共有化や今後の発展を展望する。内容がぎゅっと詰まって、とても洗練されているのである。
今回私は、特に呼吸器外科を中心に見ていった。
肺がんの手術では、大規模な回顧的研究の結果、開胸手術より胸腔鏡手術のほうが治癒率がよいことがわかってきたという。
そういう事実を踏まえ、多くの施設で胸腔鏡による手術が選択されるようになった結果、もはや「開胸術と胸腔鏡手術を比較するデータが取れなくなってきた」というところまで進んでいる。もう開胸術をする人が少なくなっているので、長期生存期間などの成績が比べられなくなっているのだ。
これはつまり、新しく呼吸器外科医になる人は、最初から胸腔鏡手術の世界に入ることを意味する。以前は、研修医は基本的な開胸術を経験し、それから胸腔鏡へと進むのが一般的であった。これからも、基本はそうであろうが、「普通の手術法」が選択されない時代になると、スタートが変わってくる。
パソコンで文章を書く時代に、炭を硯で擦って毛筆で書くことから始めないのと同じで、時代の変遷と共に手術に対する考え方も変わってゆかねばならない。
そういった未来への決然とした意思を感じさせるような外科医の発表を聴くと、居住まいが正される気がした。
まばゆいばかりの人の医療である。日本に生まれたことは、幸運であったかもしれない。
獣医医療も一歩一歩進めていかねばならない。
そういう思いを強くした機会だった。
学会終了後、クロークに荷物を取りに行く人の行列だけみても、
学会の規模のすごさがわかる。
1件のコメント
学会、お疲れ様でした。
神チャレ、わかりました。
市川先生が、かない先生ありがとうございますって書かれてるとこですね(^-^)
コメントのせるとこは、あの場所とは思ったのですが、先生方のコメントばかりで、ん?と思ったもので。
ところで、先生のyoutubeの❔は何かな?それはヒミツみたいな(^ω^)
レックスさん、神チャレはまだ立ち上がったばかりで、患者さんからの投稿はないようですが、そのうち広まると出てくると思います。
それくらいの時にお願いします(^^)YouTubeの?なんてありましたっけ・・?