はりねずみ通信
2015.03.20
価格
急な雨のためコンビニで傘を買おうとする。すると500円で販売されている。
ビニール傘だが、広げてみるとしっかりしているし、ジャンプ傘である。安くていいな、と思った反面、この傘を500円で作るにはどうすればいいのか、ちょっと考えた。
コンビニは販売により収益を得るはずなので、原価はさらに安いだろう。おそらく国内では人件費が高いので、海外生産なのかもしれない。もしかすると、中国や東南アジアの国で、安い賃金により労働を強いられているひとがいるのだろうか。
購入するものは安いほうがいい。それは当然であるが、安さを追求することにより失われるものもあるはずである。価格には意味があると考えてよい。
動物病院の治療費は、人間の医療のように健康保険の枠組みがないため、自由に価格設定ができる。いわゆる自由診療である。人間の医療の人から、「いいね」と言われることも。 ただ、そのために悩ましい、という面もある。治療費が安いに越したことはないが、価格の設定を間違えると、きちんとした治療ができなくなったり、ともすると運営が立ちゆかなくなる可能性もある。いろいろなバランスを取るのがとても難しいのだ。
たとえば、腹腔鏡で避妊手術をしようと思うと、基準を満たした設備が必要だ。手術を行うにあたり、多くの訓練された人員も確保しなければならない(通常4名以上)。普通の開腹手術は1〜2人で行うことができ、道具も基本的な手術器具で済む。どちらの手術でも卵巣と子宮を摘出する、という結果は同じ。すると、価格は通常の避妊手術に比べてそれほど高くはできない・・。
多くの動物病院で腹腔鏡手術が行われない理由のひとつは、このあたりの経済的事情によるのかもしれない。
で、この場所でこう進言するのははばかられるが、あえて伝えたいことは、価格が高いとすればそれなりに意味がある、ということ。あとは私たちの良心を信じてもらう、ということになるだろうか。
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