はりねずみ通信

2017.04.25

仕事と学び

4月は新人が入社したり、異動で新しい職場に移る人も多いだろう。
受け入れる側も、「どう教えていけばいいか」と悩むことが多いはず。業務は進めていかねばならないので、教える時間を設定することは難しい。
私自身、それが悩みの種だったが、ある本にヒントがあった。

どういうふうに教えると、一番効果があるか。
これにはきちんとしたエビデンス(証拠)がある。
実は一番教育効果が低いのは、「講義を聴く」ことなのである。レクチャー形式で学んだことは、半年後に覚えている確率はなんと5%。(・・これは何かというと、ほとんどの学校教育、なんですね)
これに対し、教育効果が高いのは、「実際にやってみる」(75%)、「他者を教える」(90%)。
だから、新人教育のために資料をまとめ、時間を作って講義してみても、あまり有効ではないのだ。

実際にやってみる、他者を教える、ということは現場でできる。
たとえば、目の前に消毒しなければならない台があるとする。まず、教える人が自ら消毒してみせる。そのあと、新人の人にも実際やってもらう。消毒液にもいろいろあって、場面によって使い分けることを説明する。簡単に感染症の種類を説明。
すると、5分で終わってしまう。これなら、忙しい現場でもできるはず。2−3年目の看護師にこれをしてもらうと、「他者を教える」ことで、その看護師への教育効果も出る。
さまざまな感染症については、家で勉強してきてもらう。各論的知識の補強は、基本的には個人で行うのがよい(多くは、これをレクチャー形式で教えようとするので、膨大な時間がかかってしまうのだ)。

やっていることの重要性を理解してもらうのも大切である。
腫瘍に針を刺し、生検(バイオプシー)をする。針の差し方や、スライドグラスへの塗抹法を説明したあと、こんな話をしてみる。
「米国の著名な腫瘍学者がこんなことを言ってたんだ。腫瘍診断に大切なものが3つある。一つ目はバイオプシー、二つ目はバイオプシー、三つ目はバイオプシー」
悪性腫瘍も最初は小さい。初期診断の重要性が腑に落ちるように。

工夫次第で、仕事を進めながら教育を行っていくことは可能だ。
問題はどちらかというと教える側にあるのかも。
「いつでも教えるぞー」というベクトルが常にないと、日常はあっという間に過ぎ去るからである。

ちなみに参考図書は、(以前にも紹介したが)「愛され指導医になろうぜ」(志水太郎著、日本医事新報社)。

IMG_0211
とじこめた、わけではない

 

1件のコメント

  • 今日はありがとうございました。
    健康診断大きな病気もなくてよかったです。
    家でお留守番をしてくれてたお兄ちゃん犬に妹は健康だったよと報告しました(^ ^)
    自分の聞いてもらいたい事だけ言って
    先生にもお世話になってるのにお礼を言うの忘れていました。
    キッチンペーパーを食べた時、歯磨き粉のキャップも食べた時、ヘルニアだと思った時も‥ありがとうございました。
    今年の患者第一号だったですよね(^ ^)
    私のミスで余計な物まで食べてたお兄ちゃんが数ヶ月で好きな物も食べれなくなるなんて‥ また泣き言言ってしまいました。兄犬のこともありがとうございました。
    妹犬達の為にもしっかりします。
    これからも宜しくお願いします。

    • もあの母さん、元気に過ごされることが一番の供養になると思いますので、気を落とさず過ごしていただきたいと思います。
      ただ、落ち着くまでに時間がかかることもありますので、どうか焦らないでくださいね。話を聞くことは私にもできますので、またいつでもお越しください。

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