はりねずみ通信
2015.10.31
一途
子供の頃、ときおり母と一緒に近くのスーパーに買い物に行った。そこの2階には食堂があり、お昼ご飯はそこで済ませることが多かった。
「なんでも好きなものを食べていい」
と言われたが、私はきまってきつねうどんを食べた。
よくある普通の食堂なので、親子丼や定食、カレーなどもあったはずだが、メニューすら思い出せない。
「きつねうどん以外は、ぜったに食べない」
と心に決めていたので、他のものには見向きもしなかった。
では、特別きつねうどんが好きであったかというと、(思い返してみても)そうでもなかったような気がする。
一度決めたことは、簡単に変えてはいけない。
ちょっとくらいよさそうなものがあっても、心変わりするのはよくない。
そういう、へんに禁欲的な子供なのであった。
(そういえば、「好きなアイス買っていいよ」と言われても、かならず「あずきバー」を買っていた)
いまでも朝起きたら腹腔鏡のトレーニングボックスで練習したり、決まったメニューの運動を判で押したように続けている。そういうストイックなところは、子供の頃からあったようだ。
でも、もう大人なのだし、好きなものを食べ、好きなように生きればいいではないか。
・・と、そう思っても、一途な生活からは抜け出せないでいる。
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