レーザー治療 | はりねずみ通信| 姫路の動物病院かない動物病院

レーザーとは、光を増幅して放射する装置のことである。
レーザーポインターなどで、よく知られているが、特定の波長の光を放出することで、直進性を持つ（つまりまっすぐ進む）。

高い出力のレーザーは、レーザーメスとして使われる。
組織を蒸散（蒸発させること）しながら切るので、出血が少ない。また、血管や神経末端を封鎖しながら切るため、術後の腫れや痛みを最小限にして手術ができる。

これに対して、低い出力のレーザーは、「低出力レーザー」と呼ばれる。
組織を切るようなパワーでなく、もっと弱い出力である。
先ほど書いた直進性のため、組織の深い位置まで到達し、組織を活性化したり、治癒に必要な細胞を賦活（元気にすること）することができる。
これは、単純に暖めるのとは違う効果があるとされている。実際、ヘリウム・ネオンレーザーなどを当てても、患部は暖かくはならない。

当院で使っているレーザーは、スーパーライザーという機械であるが、厳密にはこれはレーザーではない。レーザーは単一の波長の光を用いたものであるが、この機械は直線偏光性近赤外線という分類になる・・ちょっとややこしいが。複数の波長ではあるが、直線性を持たせており、レーザーと同様の作用をもつのと、患部がじわっと暖かくなるのが特徴である。広義のレーザーと思っていただければいいと思う。

どのように使っているかというと、椎間板ヘルニアなどで首や腰が痛い場合、関節炎のとき、外傷などに有効である。また、鍼治療のかわりにツボにレーザーを当てることで効果を狙う（レーザー鍼と言われる）こととしてもよく用いる。
痛みや腫れのある場所に、週に2回くらい、時間は１０〜１５分当てると、動物は元気になるようである。

この機械を導入したのはもう１０年以上前になる。
最初は「こんなものが効くのか？」と思ったが、繰り返し当てていると、動物がみるみる元気になっていく。なにより、注射を打つのと違って、動物が嫌がらないのがいい。彼らも、レーザー照射中は、とても気持ちいいようだ。
結局、いまは３台（手術用も含めると４台）レーザー装置があり、ほとんどフル稼働の状態である。

ただし、正しく診断した上で、適切と思われる場合に使用するのが最善である。
本来手術で治る状態なのに、レーザーだけに頼るのはよくないだろう。

ねこやま