はりねずみ通信
2017.07.07
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病気の状態を飼い主さんに説明するとき、いつも相当に頭を使う。
椎間板ヘルニア、などはよく知られている病気のため、比較的理解されやすい。ところが副腎の病気などでは、まず副腎が何する臓器かを説明しなければならない。そして、副腎皮質ホルモンが体にどう作用して・・、と話が長くなってしまう。
自己免疫疾患なども、「自分の体が自分を攻撃する」という意味合いを納得していただくために、すこし苦労する。
けれど、腑に落ちる説明ができると、その後の治療がスムーズに進む。
一緒に戦えるチームになるからである。
音楽でも同じことが起こるようで、NHK交響楽団の指揮者パーヴォ・ヤルヴィーはこんなことを言っていた。
「シューマンの交響曲では、時折やさしい旋律が出てきます。それは最愛の妻であったクララへのささやきと考えられます」
そして指揮をするとき、楽団員に「そこはクララが足りない」とか「もっとクララを」と言うと、みな納得してよい音楽ができるそうだ。具体的な指示を出すより、そのほうが「効く」ときがある、と不思議がっていた。
人類は、外敵から身を守るため集団で戦って生き延びてきた。
そのため、皆で何かを行うとき、イメージを共有するよう進化してきたのだろう。これは動物にはない特性である。
腑に落ちる言葉が、生き残るために必要だったはず。
響く言葉が見つかり、飼い主さんと気持ちを共有できたときは、やはり嬉しい。
だから、毎日そうとう頭をひねっている。
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