はりねずみ通信
2017.12.13
やり続ける
日経新聞にマレット職人の方の記事が掲載されていた。
マレットとは、オーケストラのティンパニーを叩く「バチ」のことである。
千葉さんというこの職人さんは76歳。いまでは日本だけでなく、世界中のティンパニー奏者からマレットの注文を受けている。
打楽器の音を決定するのは楽器本体ではなくバチだと言われている。長い棒にフエルトなどでできた丸い先端がついている、という単純な構造だが、それぞれの素材の特性や製法で音質が大きく変わってくる。一流の奏者は自分の求める音を出すため、マレットにはとてもこだわるのだそうだ。追求する音は曲によっても異なるため、打楽器奏者は多くのマレットを携えている。
千葉さんは、もともと音楽好きではなかったのだそうだ。
高校に楽器会社の求人が来ていて、たまたまこの道に飛び込んだ、という経歴。
けれど「必ずモノにする」という強い覚悟でやり続けているうち、仕事が自分に合ったものになり大好きになった、と書かれていた。
自分が演奏しない、という点もよかったとのこと。自分の考えではなく、奏者の気持ちに寄り添うことができるから、である。
職業を選ぶとき、多くの場合「自分がすきな仕事」「適性にあったもの」を考慮するだろう。
千葉さんはそうではなかった。
私は「仕事が自分に合ったものになり、大好きになった」という言葉に、とても共感した。
誠心誠意やり続けることで、自分にぴったりのものになる。
そこまでやり抜きたい、と思う。
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