はりねずみ通信
2016.10.31
そこに愛はあるのかい
友人のA(ときどき出てくる同級生)がホームページを新しくした、とのことで見てみる。院長の言葉がなかなかいい。
「エビデンス(根拠)に基づいた科学的な医療も大切だけど・・、
『そこに愛はあるのかい?』
を頭に置いて診療に取り組んでいます。」
と書かれていた。
私が彼らしいと思ったのは、「そこに愛はあるのか」とキメずに、「あるのかい?」と言ったところである。
井伏鱒二の有名な詩の一節に、こんな表現がある。
「花に嵐のたとえもあるぞ、さよならだけが人生だ」
もとの漢文が、
「花発多風雨 人生足別離」
であるから、
「花に嵐のたとえあり、人生別れなり」
という訳もあるだろう。
鱒二がそうしなかったのは、土俗調と呼ばれる7・7の句で、ざらざらとした手触りを感じる言葉で表現しようとしたから、と言われる。
谷崎潤一郎などの文体を、「砥草で研いだような文章」と嫌った。よどみなく流れるような言葉が好きではなかったのだ。
もう一つ気がつくのは、ある羞恥心や照れ、ユーモアの存在である。
花に嵐のたとえあり、ではかっこよすぎる。そういう言葉を使う気恥ずかしさもあっただろう。また、さよならだけが人生だ、とはいかにもユーモラスではないか。
「花に嵐の・・」には井伏鱒二の、人生に屈託しつつも、どこか大らかな、暖かい感じが凝縮しているように思う。
「そこに愛はあるのかい?」
にもそういうところがある。かっこつける自分をちょっと茶化す。そう言っている自分を別の場所から客観視し、おもしろがる。そんな雰囲気がある。ユーモラスだ。
なにより、彼の温かみが溢れているではないか。
2件のコメント
「そこには愛があるのかい?」素敵な表現ですね。。 今日は有り難うございました。
先生に「きんちゃん大人になりましたね・」と言って頂き・・
思わず「猫を被った犬なんです」と言いたかったです(笑)
先生のお顔を見たらお利口でビックリしましたけど・・・
先週末に予約を入れたのは、先生の夢を見たからなのです。
私事でバタバタしていて、きんのワクチンを先延ばしにしていたので
気になっていました。。あんこの検診も・・
夢の中でも先生は名医でした!!(笑)
先生に大丈夫ですよ!と言われたら安心ですもの・・
関東のチッチ君の飼い主さんも「きなこさんは金井先生に診てもらえて
いいですね」って言われます。。
でも・・各地に患畜さんがいらっしゃる・・すごいですね!!
きなこさん、夢では美化されるんですね(^^)
きんちゃんは、小さい頃の華奢な感じがなくなり、大人になった雰囲気です。
やっぱり動物もいろいろなことを学びながら成長するんですね。
こんばんは
90年代だったかのドラマで江口洋介さんがよく言ってましたね。
ご友人のHP、つい最近長男と話題にしていました。
春にお世話になった長男が、縁あってそのご友人の所でお世話になる予定なのです。
不思議なご縁です。
ponさん、本当に不思議な縁ですね。
獣医の世界は狭いので、またこれからもおつき合いがあると思います。
これからもよろしくお願いいたします(^^)