はりねずみ通信
2016.08.16
こわい・・きれい!!
腹腔鏡で手術を行ったとき、動画を飼い主さんにお渡ししている。
普通の手術では、これはなかなかできない。
天井に設置したカメラで術部を撮影しても、術者の頭が映り込んだり、患部がよく見えなかったりする。
腹腔鏡では、手術する人が見た画像と同じ画像を、誰もが見ることができる。
よい点は、
・飼い主さんが病気の理解をするのに役立つ
・手術に携わるスタッフが、術中にリアルタイムで情報を共有できる
・行った手術をあとで検討できる
・他の獣医師とも情報が共有でき、術式に関する深いディスカッションができる
悪い点(?)は、
・隠し事ができない(すべて白日の下にさらされる)
この「悪い点」は、実は内視鏡外科のもっとも根源的な「利点」でもある。
隠せないので、腹をくくるしかなくなる。自分だけしかできないような手術、門外不出の手技など、医療の秘匿性が消散してしまうのである。
動画を皆で共有することで、技術は加速度的に進化する。それがこの手術法のキモ、なのだ。
よい技法はとても短時間に他の獣医師に共有される。世界へ発信することも容易である。
先日、Tさんのトイプードル、モカちゃん(仮名)が腹腔鏡で避妊の手術を受けた。
退院の時、いつものように動画で説明しようとすると、Tさんは、
「だめです、コワくてみれません・・」
という。
「え?そんなこと言わず、見て下さいよ」
無理強いするつもりはないが、せっかくなので見ていただいた。
最初は遠くから薄目を開けて見ていたTさんは、だんだんしっかり目を開けてモニターに接近してくる。
最後は食い入るように見ておられた。
手術の最後に、膀胱や腸管、肝臓、脾臓などの臓器を確認する。それをみて、
「おなかの中って、ほんとにきれいなんですね!」
と感動した表情で話された。
そうなのだ。こんなにきれいなもの、ほかにはないと思う。
私の母方の祖父(故人)と従姉妹の写真
お盆に実家へ行ったとき、見せてもらった。
母曰く、私はいろいろな仕草などが祖父にそっくりなのだそうだ。
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