はりねずみ通信

治療のステージ

どの段階で手術に踏み切るか、ということは獣医師のあいだでもよく議論される。
専門用語でいうところの手術適期、である。
「踏み切る」ラインをどこに引くかで、結果が大きく変わってくるので、各疾患でもっとディスカッションされてもよい。
私自身の考えは、獣医医療における手術適期の設定は遅くなり気味、ということである。

椎間板ヘルニアを例にとると、動物が歩けなくなってはじめて手術するかどうかという話しになることが多い。ところが、飼い主さんによく聞いてみると、何らかの徴候はそれまでにもあった、という。
抱き上げると痛がった。段差を上がるのに躊躇した。歩くとき、爪が地面にこすれる音がする・・。
おそらく人の医療では、そのような段階で治療がスタートするだろう。
動物は、自分が弱っているところを隠そうとする。また、痛みを訴えることが少ない。自然界では、具合が悪いところを見せると、天敵に狙われるからである。

よく話をするのは、「もし自分がそうだったら、と想像して下さい」ということだ。
自分の足が、足の裏ではなく甲が地面に着く。それでもそのことを気がつかないとしたら・・?
固有位置感覚という、「自分の体がどの位置にあるか」という感覚が鈍いということは、大きな異常である。
ところが、犬がそういう状態であっても、元気に歩いていれば気にされない方も多い。

一方、獣医師も動物の臨床症状を過小評価する傾向にある。
グレード1の椎間板ヘルニアは「軽いヘルニア」といわれる。症状が疼痛だけで、神経異常が起きていないため軽度のヘルニアと認識される。
しびれ(麻痺)が起こってくると、グレード2と表現されるが、それでも「それほど重症でない」という雰囲気が(学会などで議論しているのを聞くと)ある。
でも、「疼痛だけ」という状態は本当に軽いのだろうか。痛みを訴えない動物が痛いといっている。それだけで、重大な状況ではないか。
グレード2は軽いのだろうか。
朝起きて自分の足を触ってみて、長く正座をしたときのような鈍い感覚しかなかったら、だれもが受診するのではないか。

外科手術が必要な膝蓋骨脱臼、胆嚢粘液嚢腫、若齢期の関節疾患、卵巣子宮疾患、会陰ヘルニア・・さまざまな病気は、相当に進行してから手術をすると合併症も多くなり、治癒率がさがってしまう。
できるだけ低侵襲の外科手術が開発され、早期に治療できるようにしていきたい、と思っている。


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