はりねずみ通信

2017.12.18

内向型人間

今、最も注目を集めている指揮者は、次期ベルリンフィル音楽監督への就任が決まっているペトレンコだろう。
ベルリンフィルは楽団員の自治権が強く、指揮者は団員が決定する。その彼らが、多くの候補の中から選んだのがペトレンコである。
すごい人であることは聞いていたが、実際の指揮は見たことがなかったし、どんな人かも知らなかった。
昨日、N響アワーで放映されたバイエルン国立歌劇場とペトレンコの演奏を聴き、めったにインタビューを受けないと言われているペトレンコの肉声を聞いた。

インタビューは興味深かった。
ベルリンフィルの首席指揮者になる人だから、カラヤンやアバドのようなカリスマ性がある人を想像していたが、恥ずかしげにもじもじと受け答えしている様子は、はじめて生徒会に立候補した高校生のようである。歌手のマチアス・ゲルネが「ペトレンコは、細かなディティールを徹底的に追求する希有な指揮者だ」と賞賛するのを聞きながら、照れたようににうつむいている。
しかし、一度指揮台に上ると、ものすごい集中力でエネルギーを爆発させるような指揮をするのである。

思い出したのは、スーザン・ケイン著の「内向型人間の時代」という本だ。
俳優、大企業の経営者、作家などには内向的な人が多い、という。社会を変えるのは、こういった「静かなひと」なのである。
スーザン・ケインのTEDトークを、YouTubeで見ることができる。

次期ベルリンフィルの演奏が、いまから楽しみ。

1件のコメント

  • 先日放送されたプロフェッショナルの樫本大進さんの回はご覧になられましたでしょうか?
    ベルリンフィルの第一コンサートマスターに就任されていますが、強者揃いの団員に受け入れられるまでの苦悩や、指揮者によって変わる曲の理解を団員との間に入って合わせていく過程などが描かれていました。
    指揮者が変わるとまたご苦労されるな、なんて思ってしまいました。
    以前演奏会に出かけましたが、毎年地元赤穂と姫路でクラッシックの裾野を広げるために世界の演奏家を集め、1000円で音楽祭を開催されているとか。
    先生は鑑賞されるのはオーケストラだけですか?
    室内楽も好きなので来年聴きに行けたらいいな~と思っています。

    • ミルクママさん、樫本大進さんのその番組、見ていません。残念!
      姫路で行われているルポン音楽祭は、ずっと毎年聴きに行っていますよ(^^)
      最近は室内楽や声楽もよく聴くようになりました。ここ数年で自分が聴くものが(不思議と)大きく変わってきています。

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