はりねずみ通信

2017.01.25

他の命

看護師の岡本君が1週間休みを利用して、温泉地へ旅行に行ってきた(当院では有給休暇とは別に、年1回1週間まとまって休みが取れるようにしている)。
そこで、ワニのショーを見てきたとのこと。
ワニに鶏肉を与える。観客は喜んで見ていた。
ところが、最後に、まるまる一羽分の鶏肉(羽毛はないが頭と足がついているもの)を与えようとしたとき、動揺の声があがった。泣き出してしまう子供もいたそうだ。
やはり、もとの動物の形が見えることで、肉食動物が生き物を食べていることがリアルに感じられたのであろう。

我々も肉を食べるとき、命を奪っている。
そういったことは、現実でもあり、これを子供に理解させるよう教育現場で取り入れることもあると聞いた。たとえば、クラスでニワトリを飼育し、最後に肉になるところまでを経験させる、というような取り組みである。

ただ、私は(あくまでも個人的な感覚であるが)、小さな子供にこれらの現実を示すときには、細心の注意が必要だと思っている。子供の感受性はいろいろである。私たちが生きていくことは、他の命を奪うことではあるが、無防備な心にダイレクトに訴えることは避けたい。

屠る(ほふる)、という行為は、太古の昔から儀式化がほどこされ、神聖視されてきた。それは「殺す」ということが、覆い隠されるべきもの、タブーであることの裏返しであるように思う。
大人の心の中にも、そういったことに対する障壁は必ず存在する。その感覚を薄めることで、なんとか日常を過ごしているに過ぎない。
他の命をもらって生きていることは、時々は思い出さなければならない。けれど、あまりにリアルに突きつけられるようであれば、生きていけないのではないか。
まして、子供はそうであろう。

だから、公共の場では、生き物の扱いを慎重にしてほしいと思う。
特別なことなので、よほど気をつけないと、人によっては心に大きな傷を残してしまう。

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きになる

 

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