はりねずみ通信
2016.03.15
PLDD実習
昨日は当院でPLDDの実習を行った。
以前から少し書いていた3Dプリンタモデルを使った初の試みだったので、参加する人の反応がとても気になったが、概ね上々だったのでほっとする。
動物医療で、新しい技術を普及させるには、はじめて取り組む人が十分な準備の上に行わなくてはならない。
PLDDを例にとると、動物の体に針を刺し、脊椎をつなぐ円盤状の椎間板中央に、正確に到達する必要がある。イメージとしては、太めの大根の真ん中に小豆を埋め込んで、それに針を刺すようなもの。
近くには脊髄神経があり、腹側方向には大動脈もある。前後にずれると、椎体損傷を起こすリスクもある。正しい穿刺技術があって、はじめて低侵襲治療になるのであるが、上達までにはどうしても時間がかかってしまう。
今回はメーカーに依頼し、ミニチュア・ダックスフントのCT画像から脊椎と椎間板のモデルを作ってもらった。何度か交渉し、実物にとても近いモデルができた。
椎間板は二重構造にしてもらい、外側の硬い部分(繊維輪)と中側のやわらかい部分(髄核)を表現した。
その骨モデルを市販の皮付き胸肉の中に埋め込み、実際にレントゲン透視下で穿刺してみると、本物の動物にきわめて近い感触である。皮膚を突き抜け、筋肉に入り、繊維輪を通る触覚がとてもリアルだ。目的の髄核に入るときの吸い込まれるような感じは、実物と変わらない。
この方法を用いて十分にトレーニングした上で治療に臨むと、きわめて安全に施術できる。とても短時間で手技をマスターできるはずである。
こういった手法は、今後さまざまな分野にも応用可能なはず。
昨日は(私にとっては)記念碑的な一日だった。
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