はりねずみ通信
2015.03.06
心の中が現れる
指揮者のマリス・ヤンソンスが、若い指揮者に指揮を教えるマスタークラスをテレビで見た。オーケストラは世界屈指のアムステルダム・コンセルトヘボーである。
若い指揮者が、オーケストラの前に立ち、いろいろと説明しようとする。
「もっと感情豊かに」とか「そのパートは、やや大きな音で」など。
けれど、プロ中のプロである彼らには、そんな小手先の指示では響かない。
結局は、自分がどんな音楽を作りたいか、自分がその作品をどれだけ深く理解しているかが問われる。オーケストラの前では、指揮者はすべてがさらされるのである。
そのときには、むしろ言葉より、身体から発するエネルギーや情熱が勝負になる。3人いた若い指揮者のうち、あまり英語ができなかった中国人の指揮者が、いちばん団員の心を動かしたようだった。彼は多くを語らず、非常に集中して指揮をした。
私も動物の治療のときに、「さらされる」感覚になるときがある。
命が懸かるかもしれない手術を勧めるときや、重い病気の予後を話すときは、口先だけで話をしていても、相手の心には届かない。
おそらく私は会話が下手なので、スムーズに病気の説明や治療内容が伝わらないこともあるだろう。でも、伝わったと感じるときは、そういった説明的なことは抜きにして、なにかエネルギーがつながるような瞬間である。
言葉が非常に大切なものであることも理解しているつもりだ。
その上で、聞こえるのはこんな声である。
「なにもない真っさらな状態で、あなたは何者なのか」
それが日々問われているようで、時々恐ろしくなる。
1件のコメント
今日とても嬉しい気持ちになりました。
あるトイプードルの仔が数件の動物病院で診て貰っても
具合が良くならなくて、犬友達が「金井病院で診て貰ったら?」
で・・先生に診て頂いたらしく・元気になったそうです。
なんだか、自分の事の様に嬉しくなりました。
先生みたいな方がいて下さる事に感謝しております。
飼い主にとっては、大切な、唯一の存在ですから(^^)
きなこさん、その子が元気になってくれてよかったです(^^)