はりねずみ通信

2017.07.01

PLDDとリハビリ

PLDD(経皮的レーザー椎間板除圧術)を多くの施設に広めたいと思っている。
自分だけこの技術を持っていても、私が死んだら消え去っていくと思うからである。
(実際に有望視されながら消えていった治療法は非常に多い。椎間板ヘルニアで言えば、キモパパインやコンドロイチナーゼによる髄核融解療法など)

ところが、複数の施設で実際に行っていただくと、「思ったほど効果がない」という声を聞くようになった。
椎間板髄核への正確な穿刺が重要なので、技術的な面もあるかもしれない。私は今日現在で801例にPLDDを行っている。1例につき平均6−7箇所の穿刺を行っているので、5000回程度髄核穿刺していることになる。後期の症例ほど治療成績は上がっているので、やはりラーニングカーブはあるように思う。
しかし、技術面以外に、何か原因があるはずである。

それでよく検討してみると、術後のリハビリ方法の差であるような気がする。
PLDD後のリハビリ法はまた書くとして、実際のケースを示したい。

ミニチュア・ピンシャー、8歳。半年前から歩行に異常が現れ、徐々に進行し、当院に来院した時点では歩行ができなかった。
MRIでは頸部と胸腰部のハンセン2型多発性ヘルニアであった。

頸部5箇所と腰部6箇所のPLDDを行い、昨日撮影したのが下の動画である(術後4ヶ月)。

これだけを提示すると、PLDDをしたからたちどころに治った、という印象を持つ方もおられるかもしれない。
けれど、術後2ヶ月間入院し、毎日リハビリを行っている。

ハンセン2型の多発性ヘルニアは、進行して麻痺が起きると非常に予後が悪い(このケースも、立てなくなってからの来院だったので、正直改善は難しいと思っていた)。
弱ってしまった脊髄神経は、そんなに容易に改善はしないのである。

だから、リハビリ方法も含め伝えていかなければならないと思っている。

4件のコメント

  • 先生。思ったほど効果が無いなんて…
    みんな症状は違うと思いますけど、我が家の2頭は麻痺してたのに歩けるようになりました。
    ありがたい事に自分の脚で、自分の行きたい所に行ってます♫
    動画のピンシャーちゃんも、良かったですね♫
    目の前に、良い効果が出て救われた子たちがいます。
    これからの壁が厚くても(笑)頑張って下さいね。応援してます٩(๑❛ᴗ❛๑)۶

    • ルンルンさん、いつか証人として出廷(?)いただくかもしれませんが、その際はよろしくお願いします(^^)
      (カメラ、買われましたか?すこしアドバイスしたいことがあります)

  • 自分も証人としていつでも出廷します!笑
    おかげさまでフレンチブルドッグこたろう、その後もかなり元気にしています。
    こんなに効果のある治療法は正しく多くの人に伝わって欲しいです。

    • こたぱぱさん、こたろうちゃん、元気なようでよかったです!
      是非、証人出廷おねがいします(^^)

  • 事前にPLDDを受けられた方のブログを読み漁り、先生からも明らかな症状の改善は難しいと言われていたのに、それが現実となると他にできることはないかと思い悩みHPで椎間板ヘルニアに力を入れておられる病院のいくつかに問い合わせをしました。5/20のはりねずみ通信で劇的な変化を遂げているPLDDの映像を見たのはそんな時でした。正直落ち込みました。
    でも問合せの回答を集約するとうちの子には最善の選択で、これからはリハビリだと納得することができました。
    今回のブログを読んで、やっぱりリハビリなんだと更に納得。
    でもプールの効果をお聞きした名古屋のリハビリの先生はアンチPLDDで、麻痺が改善していなら患部の圧迫が取れていないかも知れない、そんな状態で運動をするとかえって悪化すると言われました。
    PLDDの前にはMRIを撮りますが術後は撮らないので状態は確かにわからないですね。
    でもあの長時間の全身麻酔をするかと言えばNOです。大型犬は何をするのも大変です。
    先生、是非リハビリの必要性を前面に出して最適な方法を教えてください。
    ミルクは距離は以前の散歩コースを歩けるほど伸びてきたので、地に足がついた歩き方に変えていくのが目標です。

    • ミルクママさん、前回来院時にとても改善していたので嬉しかったです。
      慢性経過のハンセン2型ヘルニアは、そもそも治療が難しい病態です。私は通常の外科手術も行いますが、ミルクちゃんの場合はPLDDを選択するのが一番よい状態でした。
      「飛び出しているヘルニアを外科的に取る」ことは、理屈は正しいのですが、複数のヘルニアを同時に手術するためには骨や靱帯・筋肉の損傷が避けられません。術後はマイナスの状態からスタートしなければならなくなります。
      PLDDで侵襲の少ないヘルニア治療をし、その後丁寧にリハビリを行うことが有効なことも多いのです。
      (もちろん、外科手術が優先される場合もあるので、どんな場合もこれが正しいというわけではありません)
      目標を持ってリハビリをされているので、立派です!また経過を教えてくださいね(^^)

  • ミミ(バセットハウンド)12歳9か月まで大変お世話になりました。
    動画を見て、ミミの事思い出しました。
    今回バセットハウンドの子犬を飼うにあたって、ブリーダーさんに親・きょうだいにヘルニアが発症していないことを確認しました(遺伝)
    床は滑らないマットを敷き詰め、段差は全てスロープをつけました(予防)
    散歩は階段を通らないコース(予防)
    それをよそにルル(バセットハウンド1歳)はやんちゃで怖がり。コウ(ミニチュアシュナウザー1歳1か月)と共に取っ組み合いのじゃれあいが続いています。
    家族からは、別名ルルは『ウナギイヌ』コウは『借りてきた宇宙人』と呼ばれています。
    ルルはミミよりも体がとても柔らかいです。

    • モックさん、身の回りのことを見直すのは大切ですね。
      2匹で遊び盛りを過ごすのはとてもいいと思います。ウナギイヌと借りてきた宇宙人・・イイですね!

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