はりねずみ通信

2017.08.21

画像診断

椎間板ヘルニアの診断は、身体検査や神経学的検査など視診や触診で行うものと、画像診断がある。
ところが、ここに落とし穴がある。
画像診断が、病気のすべてを表現しているわけではない、ということである。

考えてみれば当たり前であるが、レントゲン・CT・MRIなどは、生き物のからだの特定の部分を抽出して表現している。
写らない部分は、わからない。たとえば、筋肉や靱帯などは、画像では評価が難しい。
でも、画像の威力はすさまじい。
何かが写ってくれば、「ここが原因だ!」と思う。
患者さんにも説得力があるが、獣医師も説得されてしまうのである。

だから、身体検査で疑った病変と、画像診断に矛盾がある場合は、とことん考え抜かなければならない。
考えなければならないことは、次のふたつ。
自分の身体検査法に間違いがあったか?
画像に写ってこない「何か」があるか?

各画像診断の限界も知らなければならない。
CTやMRIだから何でも写るかといえば、そうではない。とくに小型犬の脊髄径は非常に細く、椎間板の厚みも1−2mmであったりする。
そこからすべての情報を引き出そうとすることに、無理がある。

動画で示すのは、脊髄造影検査をDSA(デジタル・サブトラクション・アンギオグラフィー)という手法で撮影したもの。
神経だけが浮かび上がるように、骨や周囲組織の情報をコンピュータ処理で消した画像である。
MRIとはまた違った情報が得られることも多く、「古い検査」と思われがちな脊髄造影も、重要な検査だと思っている。

 

 

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