はりねずみ通信

2018.05.17

生命のちから

昨日の募金の振込先は、以下の通りです。5月末日をめどによろしくお願いします。
このプロジェクトが成功すると、多くの牛たちや農家の人に朗報となるので、協力いただけるとうれしいです。

郵便口座 記号14350 番号1376151

口座名義 金井浩雄(カナイヒロオ)
 
郵便局以外の金融機関からの振り込みの際は、
店名:四三八(読み ヨンサンハチ)
店番:438
預金種目:普通預金
口座番号:0137615
 
 
先週末、非常に対処が困難な動物が入院した。
もともと横隔膜ヘルニアがある猫が、妊娠した、というのである。

横隔膜ヘルニアは、生まれつきの異常や事故で、腹部と胸部を隔てる横隔膜に穴があき、腹部臓器が胸腔内に入り込む疾患である。
そのため肺が圧迫され、呼吸困難になる。それだけでも大きな問題なのに、その状況で妊娠したのだった。

妊娠のため腹圧は上がり、呼吸状態が非常に悪かった。
もともと普通に家庭で飼育されている猫ではなく、半分野外猫のような猫とのこと。過去に工場の機械に巻き込まれ、外傷の既往歴がある。そのときに横隔膜ヘルニアを起こした可能性があった。

すぐに入院させ、酸素室に入れた。
レントゲンを撮ったり、血液検査をする体力すら無いように思えた。
週末は酸素吸入を続け、週明け早々に手術をする予定にしていた。

ところが驚くことに、日曜日に酸素室の中で出産したのである。
子猫3匹のうち1匹は死産で、もう一匹もすぐに亡くなってしまったが、1匹は生き残った。

そして、昨日。母猫の横隔膜ヘルニアの手術をした。
麻酔をかける。
麻酔中のSPO2は本来95以上ないといけないが、70以上にはどうしても上がらない。肺が膨らまないので、酸素化ができないのだ。
普通の状況では、数分のうちに危機的な状況になるような数値である。急いで手術を開始した。
横隔膜は右半分が大きく欠損し、小腸と肝臓のほとんどが胸腔内に入り込んでいた。それを腹腔内に丁寧に引き戻すと、SPO2が正常範囲に回復した。あとは安心して手術を続行できる。
横隔膜は閉鎖困難かと思われたが、周囲の筋層でフラップを形成して完全に穴をふさぐことができた。その後、避妊手術も行う。
手術は無事終わり、麻酔から覚醒した。

写真は手術直後の母子である。
重い病気の中、酸素室で出産し、手術後もすぐ子猫の世話をする様子を見て、動物の命はなんとたくましいことか、と思う。
術後数時間で食事も食べ、1日経って安定した状態だったので、今朝酸素室から出ることができた。

あと数日で退院できるだろう。
退院のときは会えないけど、元気で。

IMG_8173
きみはすごい

 

4件のコメント

  • おはようございます

    大変な状況の猫を流れるような段取りで助けられる先生も凄いですが、出産し手術にも耐え、子育てする母の強さ、生命力は感動しますね(^^)v
    食事も術後すぐとったのも、子猫の為に生きてお乳を出すための本能かもしれませんね

    先生いよいよですね(^^)
    言語の違いや、受け取り方は違えど、先生の技術や思いや願い、そして暖かいお人柄は万国共通(^^)皆さんに伝わると思います。
    報告楽しみにして待ってます。気をつけて行って帰ってきて下さいねp(^^)q

  • 半野良のニャンコさん、退院後がちょっと心配ですが、無事で何よりです。
    世界一の手術を受けられて、ラッキーなニャンコですね。

    先生、明日からリスボンなのですね、そんなお忙しい中、チッチの件では本当にいろいろありがとうございました。

    ご帰国後に、また良い報告ができるよう、頑張ります。

  • こんにちは(*^^*)
    涙腺崩壊しました(笑)
    なんてすごい!
    母猫さん、仔猫さん、先生、スタッフの方々、飼主さん!
    想いが一つになるって本当に素晴らしいですね。
    お疲れ様でした!

  • こんにちは。
    動物の本能の凄さ母猫の強さに感動しました。
    普段の体の辛さに増して妊娠してどんなに苦しかったのか‥
    先生はじめ他の先生方、看護師さんに
    助けてもらい仔猫共に元気に暮らしてもらいたいですね!

    お産をした牛が牛乳を出すのは知っていましたが、よく牛乳が出るように改良されているのは知りませんでした。
    これも人間の為ですね
    人間のお産のあと乳腺炎になるのと同じですよね?
    凄く痛いです 牛さんも痛いでしょうね。
    佐藤さんのプロジェクト是非成功していただきたいです。
    気持ちだけですが協力させて頂きます。

    先生の熱意が伝わる発表になるように
    姫路で聞いています(^^)
    ハランにして頂いた手術の発表ですから現地で直接聞いてみたいですが、子供達(犬)をおいていけませんので(*´-`)

    お気をつけて発表が終われば楽しんでくださいね。

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