はりねずみ通信

2016.05.27

志向

知人に言語学を勉強された方がおられる。
言葉に興味を持ってその分野に進んだそうなのだが、一言に言語学と言っても色々な分野があり、何を選考するかで、いろいろと考えたのだそうだ。

文法や構文を研究する分野、文化人類学的なアプローチをする分野、言語を分析し統計学的に研究する分野など、さまざまな領域がある。

いろいろ講義などを聴いてみて、なんとなく消去法的に選んだのが、音韻学だった、と言われた。
他の分野では数学的な知識が必要だったり、基本的な理論に馴染めなかったりしたが、言葉の音や響きを研究する音韻学の分野は、不思議にしっくりした、とのこと。
(これはあまり人気のない分野らしく、ひとつの言葉の響きを調査するマニアックな領域なのだそうだ)

「学生の時は気がつかなかったけど、社会人になり、自分がなぜそれを選んだのかがようやくわかりました」
といわれた。
結局自分は「音」が好きだったのだと。(その知人は、音楽もとても好きである)

そういうことって、確かにある。
私はいま、内視鏡外科に関心があるが、とことん詳しくものを見たいという気持ちや、手を動かすことが好きだったことが、かなり関係している。
昔から歴史よりも地理が好きだった。歴史は複雑に絡んだ「縦方向」であるが、地理は平面の「横方向」である。何かを考えるときも、頭の中で考えるより、平面図に書く方が考えやすい。内視鏡外科はまさに「平面」だ。

そういうその人の「志向」のようなものが、知らず知らずに方向を決めることもある。
選ぶときには意外に気がついていないことも。

だから「なんとなくこっちの方がすき」という気持ちを大切にしたほうがいいだろう。
あとからしかわからないこともあるから、である。

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いいかぜがふく

 

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