はりねずみ通信

2016.04.05

医師を尊敬する理由

大学の時、血液塗抹をつくる実習があった。赤血球や白血球を観察するためである。
手近な血液は自分からとるのが早い。指を少し傷つけ1滴の血を採取する。
ところが、これがなかなか心理的な抵抗がある。自分の体を傷つけることが、これほど「行いにくい」ことだと初めて知った。

人間のお医者さんがすごいと思うのは、「人間が人間を治療する」という点である。
私たちからみれば、自分で自分の体を傷つける行為に似て、よく手術などができるものだと尊敬のまなざしで見る。医学教育の過程で、そのような心理的障壁を乗り越えるのかと思う。

動物の手術や施術を軽く考えているかというと、そうではない。あくまでも、「心の壁」のはなしである。

人間をnとすると、神様はn+1、動物はn−1である。と何かの本で読んだ。
旧約聖書の創世記には、「人間はすべての動物たちを治めよ」と書いてある。
我々獣医師が動物たちを慈しむ心で治療するのは、ある意味自然な行為とも言える。神様が人間を慈しむのと同じである。

人間が人間を治療する医療において、お医者さんたちがたいへんなエネルギーで取り組んでいるのには理由があるだろう。
一段高い存在でなければ、とても務まらない仕事だからである。

IMG_8019
ばきゅん

 

 

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