はりねずみ通信

2017.06.26

プラセボ

病は気から、というように、気持ちの持ち方で病気が治ってしまうことがある。
プラセボ薬(偽薬、中身は砂糖だったり)をお医者さんから処方される。それを飲むと本当に病気が治癒に向かうことがあることは、よく知られている。これをプラシーボ効果、という。

外科手術にもプラシーボ効果があって、有名なのは関節鏡での滑膜切除術。
膝が痛い人は、関節の中に滑膜炎があることが多い。関節内にふらふらと浮遊する海藻のようなものである。
これが痛みの元と言われていて、関節鏡により滑膜切除をすると、痛みが消えると信じられていた(シェーバーという道具で、芝刈りのように「海藻」を刈り込むのである)。

ところが、これに疑問を持った医師が、実験をした。患者を以下の3群にわけ、効果を比較したのだ。
A「膝の皮膚をちょっとだけ切り、関節鏡を入れたように患者が信じるようにした」
B「実際に関節鏡を膝に入れたが、滑膜切除はしなかった」
C「関節鏡で滑膜切除をした」
そして、術後効果を3年追跡したところ、改善率はすべて50%だったのである。
つまり、手術をしたという安心感がプラセボ効果になって改善をもたらした、と言える。
(この実験が普通の患者さん相手に成立したのは驚き・・。だって皮膚だけ切られて手術したと信じ、2年も過ごしたのだから!)

その点、動物にはプラシーボ効果が働かないからわかりやすくてよい、と言われる。
でも、そうだろうか。
大学を卒業したばかりの獣医師が、犬に下痢止めを処方したら、
「効かなかったですよ」
と言われる。でも、処方は間違っていないので、私がほぼ同じ薬をきちんと説明して渡すと治る。そういう経験をよくする。
飼い主さんが薬を飲ませるとき、
「この薬、ほんとに効くのかな・・」と思って飲ませるのと、処方の意味を納得して飲ませるのでは効果が異なるようなのだ。
「この薬、効くからね」そう言いながら動物に与えると、動物にもそのオーラが伝わるのだろうか。

これを科学的に証明しようとすると、むちゃくちゃにややこしい。
飼い主さんと動物とで、二重プラシーボになっているから、それを二重盲検法でしらべると・・。
頭がおかしくなりそう。

IMG_0506
昨日シロトピア公園を散歩した

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