はりねずみ通信

自分にとって美しいもの

日経新聞に連載されている「私の履歴書」は、いま美術収集家のジョー・プライスさんが書いている。
プライスさんは伊藤若冲(江戸時代の画家で、ユニークな表情の虎や、躍動感のある鶏の絵で知られている)の絵を多く収集され、若冲を現代に紹介した立役者である。

絵の収集をはじめたのは、偶然だったそうだ。
たまたま入った古美術商の店で、若冲の「葡萄絵」と出会った。大枚をはたいてそれを買ったが、それがどんな時代の、だれが描いたかもわからず購入したのである。ずっと経ってから若冲に関心を持つようになったとき、自分が最初に買った絵が若冲の描いたものだとはじめて聞かされたとのこと。

私はこの話を聞いて、志賀直哉の「清兵衛と瓢箪」を思い出した。
清兵衛も自分の美意識に従って瓢箪(ひょうたん)をあつめた。父親や学校の先生はそれが無価値であると決めつける。ところが、審美眼のある人から見ると、たいへんに価値のあるものだった、という顛末。

「清兵衛と瓢箪」の核心は、他の人がその瓢箪を高く評価していることを、清兵衛自身が最後まで知らなかった、ということだ。
そんなことには無関心で、大人たちに瓢箪を壊されてしまったあと、今度は絵を描き始める。
つまり、絶対的な価値は自分の中にある、ということである。

若冲もそうであった。裕福な家庭に生まれ、お金には困らなかった。だれかに媚びて評価をもらう必要がなかったので、自らの美意識に基づき、奔放ともいえる想像力で、思う存分表現した。
そしてプライスさんもそうだったのだ。
自分のすきな絵を選んでいった結果、若冲に行き着いたのである。

そういう人たち(清兵衛、若冲、プライスさん)にとって、他人が付けた肩書きや評価など、意味をなさない。その意味では「我が道を行く」(現代風に言えば「ぶれない」?)とも言えるが、単純に自分にとって美しいものを選んでいったに過ぎないのかもしれない。
結果として評価を得ることができるもよし、できなくてもよし。

そんな人生を歩みたい。



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きめる

 

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