はりねずみ通信

2017.10.07

研究のデザイン

科学者が研究を行うとき、「どんなことを調べたいのか」も大切だが、「その研究に物語があるか」が非常に重要である。
たとえばCurrent Biology誌に掲載されたロンドン大学イレーナ・マグアイア教授の研究はとても有名で、ことあるごとに話題に上る。
研究結果は、「大人の脳は学習により構造が変化する」というもの。
脳の海馬が、学習により大きくなることをMRIを用いて証明した。それまでは大人の脳は非可塑性で、構造変化は起こらないと考えられていた。
この研究のキモは、被験者にロンドンタクシーのドライバーを選んだ、ということである。
ロンドンのタクシードライバーは、ロンドン市内のすべての道を覚えなければライセンスがもらえない。何回もテストがあり、受験者の半分は不合格になる。
彼らが道を間違えない、というのは世界中でよく知られている。
「ロンドンのタクシードライバーの脳を調べたら、特定の部分が大きくなっていたんだって!」
ときくと、だれもが「へえー」と思うはず。インパクトは大きい。
これが「○○大学の学生を調査したら・・」という研究だと、これほど有名になっていないだろう。

最近の話題では、睡眠不足がいかにパフォーマンスを下げるか、という研究がおもしろかった。
「NBAのバスケットボールプレーヤーは、睡眠不足により3ポイントシュートの成功率が下がる」のだそうだ。
試合を見ていてシュートが入らなかったら、「夜更かししたんじゃないか」という想像が頭に浮かぶ。そこに物語がある。

私は動物の歩行に関する「ある研究」のデザインを考えた。
これを証明できたら、世界中にすごいインパクトがあるのになあ。だれか研究してくれないだろうか。

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そばに

 

 

1件のコメント

  • いつもボニョがお世話になっております。わが家もBUHI秋号を購入しました。楽しみに読ませて頂きます。

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