はりねずみ通信

猫の外傷

面の皮が厚い、という表現があるが、百戦錬磨の雄猫の顔はまさにそうである。
最近は室内飼育が多くなったので、めっきり見かけなくなったが、昨日そんな猫が来院した。

縄張りを守るために、多くの猫と喧嘩してきたのであろう。顔には無数の傷跡があり、皮膚は繰り返し戦ってきたために分厚くなっている。その頬から顎のあたりが化膿してしまい、膿瘍がはじけて大きな傷になっていた。

獣医師の後藤が麻酔をかけ、消毒の後に縫合した。
私が見に行くと、強湾角針(皮膚を縫う湾曲した鋭い針)が皮膚をなかなか貫通せず、苦心しているようだった。

二十数年前、私も同様のことで難渋したのを思い出す。
勤務医だった頃、このようなボス猫が激しい喧嘩の末、動物病院へ連れてこられた。
角針で縫おうとしても、皮膚が分厚すぎて針が通らない。厚紙を何枚か重ね、それを針で縫うのを想像するとよい。全然刃が立たなかった。
私は「もっと大きな針であれば通るのでは?」と考え、院長に、牛で使う針を使ってもいいか聞いた。
私が勤務していた動物病院は、犬猫だけでなく牛や豚など大動物も診ていたので、道具は揃っていた。
ところが院長は言下に否定し、「それは縫い方の問題だ」と言った。

針が皮膚に対しきっちり垂直になっていること、湾曲した針の中央を把針器で持ち、ぐらつかないようにすること、などを教えてもらった。そして一気に皮膚を貫通させる。その時の力の「込め具合」は、いまでも身についている。
後藤にも教えてやると、うまく縫えるようになった。

素人が畳を縫うと、いくら力があってもきちんと縫えないそうだ。それと同じで、こういうことには要領がある。
最初は難しいが、一度会得すれば生涯使える技術であろう。

私たちの仕事は、そういったことの積み重ねなのだと思う。

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ぼー

「猫の外傷」への2件のフィードバック

  1. 最近ミミは人の好き嫌いが出てきました。
    吠えたりしないのですが、尻尾をふり幅が違います。
    かない動物病院の看護士さんも違いがあるようです。
    もちろん獣医師の先生も・・・
    かない先生は大好きみたいです。
    何かミミにとって線引きがあるのでしょうか?

    1. モックさん、動物と人間には(人間同士と同じように)相性があるようですね。これがなかなか計れないのです(^^)

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