はりねずみ通信

2017.10.06

椎間板

朝と夜、身長が違うことをご存じだろうか。どちらが高いか。
朝の方が身長が高いのである。
骨の長さは変わらないので、変わるのは背骨のあいだに存在する椎間板の厚み、と言われている。

椎間板は夜寝ているあいだに水分を取り込み、膨れる。
だから朝一番の椎間板は、弾力性があり、みずみずしい。

早朝に体操やストレッチをする人が多いが、椎間板に負荷をかける動きは避けた方がよい。
柔軟性を高めようと思い、朝一で思いっきり腰を屈曲するストレッチをすると、水分量が多い椎間板を痛めることがある。
不思議と腰が悪い人ほど、こういった無理をする。ほどほどがいちばん。

動画は、昨日行った頸部椎間板ヘルニアに対するPLDD(経皮的レーザー椎間板除圧術)のレントゲン透視画像である。
真ん中の針を椎間板中央に刺したあと、よくみると針が逆方向へ押し出されるように戻っていく。
これは椎間板内圧が高くなっている証拠である。

椎間板は外側に線維輪という硬い枠(わく)があり、内部に弾力性のある髄核が存在する。
髄核はグミのようにプニュプニュしていて、背骨にかかる重力を受け止めている。
病的な椎間板ではこの椎間板の内圧が高まり、背側を走行する神経を圧迫する。その圧力を減らすのがPLDDという治療法なのだが、大切な椎間板の弾力性を失わないため、現在では非常に低い出力でレーザー照射をすることが多い。

治療したあとでも画像診断上に大きな変化がないため、「証拠がないじゃないか」と言われることもある。
そういう意味では内科治療に近い手術なのかも。

構造を改変する大工仕事ではなく、調和を導く庭師の仕事だと思っている。
(これはPLDDの治癒理論の一部であり、他にもレーザーによる椎間板性疼痛の緩和や、細胞レベルの治癒機構もある。今回はわかりやすく話を単純化している)

 

2件のコメント

  • ストレッチなどの運動するのに体に負担のかかる時間帯ってあるんですね。知りませんでした。
    時々腰を痛めるので凄く勉強になりました。ありがとうございます。^_^
    椎間板の内圧って繊細で微妙なんですね。

    • まきあさん、椎間板の仕組みは非常に興味深いです。人は2本足歩行で、犬や猫は4本足なのでまた違いますし。

  • 金井先生
    ピン君の手術も同様だったのだろうと思いながら動画を拝見しました。

    現在ピン君は散歩の足取りも軽やかで
    たまに後ろ脚を上げておしっこをするくらいになりました。

    四肢がピーンと硬直していた時が2か月前だったなんて思えない様子です。
    ピン君の動画とチャリティ終了の報告をブログに上げました。
    もし、お時間がございましたら、現在のピン君の歩様を見てください。
    http://oliversham.exblog.jp/237839546/

    私自身、25年前に椎間板ヘルニアで入院した経験があり、あの強烈な痛みは忘れられません。
    朝の運動に気を付けることにします。
    ヘルニアという病気のことも理解できるように記載してくださり、大変興味深く拝読しました。

    • Norikoさま、ピン君の動画拝見しました。
      さらに歩様が改善していますね。また、自信を持って歩いている表情が印象的でした。よかったです。

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