はりねずみ通信

椎間板ヘルニア、早期治療の意味

自宅で飼っている私の犬のピヨは、7歳のミニチュア・ダックスフントである。
過去のレントゲン撮影時に、腰部椎間板に石灰化が認められていた。けれど、症状が何もなかったので、様子をみていた。

今回は背部痛、運動負耐性などの症状がみられたが、麻痺はまだ起こっていない状態。
グレード分類でいうと、グレード1に相当する。
通常はこの状態で外科的処置をすることは、まず、ない。
消炎鎮痛剤やケージレスト(小さなケージに閉じ込め、安静を保つ)で経過をみることになる。

ピヨの場合は、脊髄造影検査で腰椎の多発性ヘルニア(ハンセン2型)であった。わずかな症状があるだけでも、多くの場合中程度以上の椎間板ヘルニアが存在する。当院で過去500例以上椎間板ヘルニアの手術を行ってきて、「ヘルニアがあるだろう」と予想して検査したとき、ヘルニアがない例は1例もなかった。ピヨの場合も予想通りだったわけで、そのまま腰椎のPLDDを行う。
ヘルニアは3ヵ所であったが、腰椎で椎間板ヘルニアが発生しやすい場所が6ヵ所あるので、予防的処置も含め、6ヵ所の治療を行っている。

初期に治療する理由はこうである。
当院で過去に治療を行ったミニチュア・ダックスフント120例を調査したところ、PLDDを行った椎間板が再脱出して手術が必要になった例は3%以下。通常、ミニチュア・ダックスフントでの再発率は20%程度といわれている(一度手術した犬が、もう一度手術しなければならない率が、そんなにもあるのだ)ので、PLDDは椎間板ヘルニアを予防する効果がある、と我々は考えている。

ということは、初期の椎間板ヘルニアを治療する意義があるということである。
もちろん、PLDDは手術的な手技で、動物の身体に負担をかけるし、全身麻酔も必要である。手術のリスクもゼロではない。
でも、これまで行ってきた経験から、的確に行えばPLDDはきわめて安全な手技であるし、メリットとデメリットを天秤にかけると、メリットのほうが大きいと思える。

ピヨの場合は、PLDD翌日はすこし不安定な歩行をしていたが、その次の日からはまったく元気だった。手術前は、痛みのためほとんど動けなかったが、いまはいつもと変わらない。

今ある痛みを取り、将来的な予防もできる、これほど負担の少ない手術法は他にはない。
やっぱりやってよかった、と、これは飼い主の視点で思う。
普段、重症の椎間板ヘルニアを多く診るので、早期治療をもっと勧めていきたいと考えている。問診を取ると、重症化する前に、何らかの症状のあることが多い。多くは見過ごされているのだろう。

 

IMG_6571
PLDD翌日

 

 

 

 

「椎間板ヘルニア、早期治療の意味」への2件のフィードバック

  1. ピヨちゃんいつも通り元気になって良かったですね(^^)これでまたエンドレスコング投げが楽しめますね(笑)話せないからどんな小さな変化でも見逃さないようにしてあげる事が大事だと改めて感じました。

    1. mocamamaさん、ありがとうございます。1ヵ月は安静にしなければなりませんが、その後は遊んでやります(^^)
      (ぼくは獣医なのであたりまえですが)やはり病気発見はいつもそばにいる人の観察が大事ですね。

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