はりねずみ通信

2017.03.29

最新のものが最善でない理由

「先生、40℃以上の熱があるんです」
Kさんの顔は青ざめていた。ところが、ミニチュア・ダックスフントのキャンディーは比較的元気そうである。
熱を計ってみましょう。すると平熱の38.5℃だった。
Kさんに訊くと、家の体温計は人用の最新のものとのこと。数秒で体温が表示される。
ということは予測型の体温計である。体温の上昇率から本来の体温を予測して表示する。人の脇で計ることを前提に作られているので、犬の直腸で計るとおかしな数値を「予測」してしまうのであろう。

動物病院でも、さまざまな新しい機器を導入する。
メーカーの話を聞くと、バラ色のように思える。それを使うと、すばらしいことができる。
ところが、実際に使い始めると、想像しなかったような不具合や、思いもよらぬ出来事がおきて、うろたえてしまうことが多い。
たとえば腹腔鏡のカメラシステムを高画質のものに変えたら、手術の時はいいが、あとで画像を編集しようとすると専用のソフトがない、とか。機械の使い方が難しく、スタッフ皆が使えない、とか。

結局古くから使い慣れているものが、一番いいのかも。水銀柱の体温計だと、間違いなど起きるはずもない。

今後AIなど、人智を超える技術があれこれ出てくるかもしれないが、肝心なことを忘れている。
使う人間は全然進化しない、ということである。

 

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診察中、ブラインド越しにカルガモが見える幸せ

 

2件のコメント

  • お騒がせして すみませんでした。
    そもそも、人が脇で計る体温計を動物の直腸に使うなんて大間違いですよね。
    体温計を作った人達にも、ごめんなさい。
    アナログ人間なのに、最新の物が気になるという ややこしい私です。おほほ。

  • 先生♫
    軽〜いコメントしちゃいましたm(__)m
    病院の皆さんにも、キャンディにも ごめんなさい!との想いなんですけど変に伝わってしまいそうで反省してます。
    コメントじゃなくて、メールのように使って すみませんm(__)m
    忘れて下さいm(__)m

    • ルンルンさん、いえいえ純粋に面白かったので載せました。他の飼い主さんにも役立つ情報ですしね(^^)
      新しいものを取り入れるのは、風水的にもよいそうですよ!

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