はりねずみ通信

2015.01.28

早期発見・早期治療2

今回は避妊手術について。
日本は世界的に、「動物の不妊手術をあまり行わない国」として有名である。
雌の犬猫でよくおこる子宮蓄膿症という病気は、欧米ではほとんど見られないため、その研究のために日本のデーターを使うことがあるくらい。
国によっても異なるが、繁殖に用いない動物の90%以上が避妊される欧米に比べ、日本では50%しか雌の避妊手術が行われていない。

これは文化の違いによるもので、いいか悪いか、という話ではない。
日本は古来から、自然にはできるだけ手を加えない、ということをよしとしてきた。
いまでも、「できるだけ動物に手術などを受けさせたくない」と考える人はたくさんいる。私は、それはそれで日本のよいところ、と思う。
欧米の人は「動物にわりとドライだな」と感じることも、実は多い。

本音を言うと、私が低侵襲治療に力を入れるのは、この日本的な考えによるものかもしれない。かわいそう、というと感傷的に聞こえるが、端的に言えばそうである。動物の体に大きな負担をかけるのを避けたいと、いつも思っている。

でも、中高齢以降、避妊していない犬や猫は、大半が卵巣子宮疾患になっていく現状を見ると、そうも言っておれない。
若いときに避妊するタイミングを逃した場合でも、健康状態が良好なときに手術を考えることは無益ではないだろう。

いまは、腹腔鏡手術や痛みをコントロールする薬などがあるため、手術の負担は相当に減っている。
病気になってから手術をする、というのではなく、予防的に行う手術という選択肢もあると思う。

 

IMG_6035
あしがでてるよ

 

 

1件のコメント

  • 先生こんばんは。
    早期発見、早期治療、私もチッチの治療では早くに気が付いていたのに、治療が遅れて大後悔しています。本当にそうですね。

    避妊手術をしておかないと、子宮の病気になりやすいのですね、これは人間もそうかもです・・・
    オスの場合はどうでしょうか?ウチは私が麻酔を怖がって、結局手術していません。(人間で当てはめると、女性ほどは疾患がなさそうに思えるのですが・・・)ケースバイケースだとは思いますが・・・教えてください

    • usagi158さん、オスは睾丸の腫瘍、肛門にしこりができる肛門周囲腺腫、前立腺肥大などがあります。また、会陰ヘルニア(脱腸)の誘因になることも。雌の卵巣子宮疾患に比べれば、確率は低いと思いますが、去勢によって予防できることが多いので、選択肢にはなると思います。チッチちゃんの場合は、確かに麻酔のことがありますので、考慮が必要ですね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

最近のコメント

2023年
2020年
2018年
2017年
2016年
2015年
2014年