はりねずみ通信

2017.04.13

新しい言葉

昨日は、アメリカン・コッカースパニエルの腹腔鏡下胆嚢摘出術を行った。
他施設で行った超音波検査で、胆嚢の異常を指摘されたのだが、まったくの無症状である。
ところが、当院での検査でも、明らかに重度の胆嚢粘液嚢腫であり、正常の数倍にも拡大した胆嚢を確認することができた。
実際に手術してみると、もう少しで胆嚢が破れるほど、胆嚢壁が薄くなっていた。
胆嚢が破れてからの手術では、合併症の発現が非常に高くなる。手術してよかった。
この状態で、無兆候であるのは、本当に不思議だ。

ところで、腹腔鏡下胆嚢摘出術はLap-Cという。Laparoscopic Cholecystectomy の略である。
この手術をどう呼ぶか、当院では最近まで決まっていなかった。「ラパ胆」とか「ラパロの胆嚢摘出」などと言っていたが、昨日は予定表にLap-Cと書かれている。論文などではLap-Cと書いたりしていたが、看護師たちはあまり知らなかったはず。
訊いてみると、
「そのほうがかっこいいから」
とのこと。
若い世代のひとは、新しい言葉への適応力が非常に高い、と思った。
おずおず使うのではなく、いきなり登場するのがすごい。
(私自身は「今日はLap-Cするからね」とは、まだ言えない。なんとなく恥ずかしい)

腹腔鏡下の胆嚢摘出は、いまは固定されたメンバーで行っているが、いろいろな面(時間、全員の集中度、さまざまな器具をつかうこと、なによりチームワークが必要なこと)で、たいへんである。
手術に携わらない看護師も、それを承知しているようで、昨日はこんな張り紙が。

IMG_0194

オペ看に差し入れが用意してあった。心温まる。
Lap-C、完全に定着している。

2件のコメント

  • お久しぶりです。

    破裂寸前の状態なのに、無症状?
    何がきっかけで超音波検査をする事になるんですか?
    血液検査ですか?
    この春にエコーの予約をしてたんですが(健診目的)、お迎えが出来ないので
    今回は、キャンセルしました。
    なので、はりねずみ通信で余計気になってしまいました^_^;
    言わないですからね〜〜、わが愛娘も…愛犬でした(^.^)

    • もこさん、飼い主さんがみて健康状態に全く異常がない、という意味での「無症状」なので、犬自身は何らかの痛みや違和感を感じていたと思います。
      検査ばかりが重要なのではなく、問診や触診のもと、詳しい検査をして病気が発見されることが多いです。
      つまり、動物の場合は、飼い主さんと獣医師が懸命に探さないと、病気の早期発見は(人間より)難しいのです。
      だから気軽にいつでも相談してくださいね!

  • 私の職場では、腹腔鏡下胆嚢摘出術は、ラパコレと呼んでます。ラパ胆と言ってる人もいました。
    手術予定の書いてあるホワイトボードにもラパコレと片仮名で書いてあったように思います。

    動物の自覚症状はホントに分からないです。
    胆泥で薬を飲みだして、効いてきてると言われて初めて、薬が始まるまではえずいてる回数が多かったような気がするなと思ったくらいです。
    もっと注意したらなあかんなと思いました

    • まこさん、動物の自覚症状は、普段生活を共にしている飼い主さんが一番気がつきやすいと思いますので、なんとなくおかしいなと感じたら教えてくださいね。
      いまは落ち着いているので、大丈夫かと思います(^^)

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