はりねずみ通信

2016.08.03

希望の灯

ハイドンは交響曲の父、といわれる。
最近再び光を当てられることが多くなり、今回のヴェルビエ音楽祭でも演奏があった。

西洋音楽は、五線譜の発明、各種弦楽器や管楽器の開発などから洗練に洗練を重ね、今に至っている。
ハイドンはそのあとに続くバッハやモーツアルト、ベートーベンの「元」に当たる作曲家なので、素朴な印象があった。ところが、よく聴いてみると音楽表現のすべてが盛り込まれている、磨き込まれた曲なのである。
最近、ふたたび取り上げられることが多いのは、再発見、という意味合いが強いだろう。

ハイドンがすでに極め尽くした音楽を、さらに発展させなければいけない後の作曲家は、大変だったはず。
ブラームスは、ベートーベンの交響曲を凌ぐものを作曲しようとして40年を費やしたという。
演奏家たちも、技術の粋を極めてきた。

そういう流れの中で、こういった音楽祭が開かれ、多くの人がそれを楽しむ。
そのことに、欧州の歴史や誇りを感じる。
欧州を統合しようとするEUの精神も、こういった洗練された文化の先に生まれたものだった。
音楽によって、人類は一つになれる。ベートーベンも語ったその理想を、ヨーロッパは実現しようとした。

ところが、移民問題、テロにはじまり、イギリスのEU離脱につづく一連のできごとは、そういった理想が実現困難であることを見せつけている。彼らの失望感はとても大きいだろう。

でも、人間のすばらしい力は、戦争や暴力に使うのではなく、音楽をはじめとする芸術の洗練や、人類の幸福に向かってほしい。演奏者や、それを聴きに来る人は、心の底にそういった想いを持っていると思う。

そういう希望の灯を消さない、という意味で、このような音楽祭はこれからも続けられるだろう。

IMG_8748
演奏会の合間に、野外で歓談するひとたち

 

 

1件のコメント

  • 先生 素敵な音楽や景色で また日常とは異なる感じかたを色々されたり 貴重な素晴らしいお時間を過ごされたことでしょうね~。

    帰国後の忙しい中での診察、抜糸ありがとうございました。

    お水使って二日目ですが カラー外すと 舐めるので スプレーしてはカラー。外すとべちゃべちゃに舐める、掻く。スプレー→カラー
    そうなると、二日目でスプレーの残が半分になり、量も必要、効果をみるのも難しそうな状態。ひたすら舐めるため、カラー外せません。

    • ももさん、やはり経口投与の薬も考えたほうがいいかもしれませんので、一度ご来院下さい。

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