はりねずみ通信

外科教育

ブラームスが作曲した「ハイドンの主題による変奏曲」という曲がある。
その他の序曲(悲劇的序曲や大学祝典序曲)などと一緒のCDに入っていたので、学生時代によく聴いていた。
最近、ゲルギエフが指揮をした演奏をテレビで見て驚いた。学生の時と、まったく印象が違うのである。

変奏曲というのは、もともとの主題があり、それをどんどん変化させていくという作曲法だ。
ハイドンの・・は、ハイドンが作った美しいメロディーが最初に演奏され、それが次々に変奏される。
学生の時は、「ちょっと遊びが入った、かわいい小品」というイメージだった。
ところが大人になって聴いてみると、この「変奏」が尋常でないことがわかる。
和声の進行はそのままなのだが、上に乗るメロディーはありとあらゆる方向へ変化する。リズムは分割して再構築され、主題のメロディーは痕跡もないほどに飛散する。そしてだんだんと階層的に積み上がってゆき、最後にはゴシックの教会のように、巨大な構築物として提示される・・。
ブラームスの即興性や無限の想像力が、遺憾なく発揮された作品なのだった。

ということは、学生の時には聞く耳がなかった、ということだろう。

同様のことは、外科教育でも経験する。
私は腹腔鏡を学びはじめた頃、人間の手術ビデオをみたり、人医向けの実習に参加した。
最初は、
「わー、人間の医療はすごい」
という印象。
こんなこと、とても自分ではできない。そう思った。

ところが回数を重ねていくと、手術の見方が変化してきた。
少しずつ症例数を増やし経験値が増してくると、ディティールが見えるようになるのである。
最初はすごい、と一括りにしてみていただけだったが、細かい動作や組織の展開法、気がつかなかった左手の役割などがわかるようになっていく。
そうして自分もそれを手術に生かしていき、またお手本を見る。また深い層を理解して、次のステップに進む。
その繰り返しが、高い学習効果を生むようなのである。

腹腔鏡をされるひとは、折り鶴を折る練習をすると、それがよくわかる。
うまいひとのビデオを見る。自分も折ってみる。もう一度見る。
「あ、こんなところで、こんな動きをしているんだ」
と、毎回新しい発見があるはず。
つまり、ただ見ているだけでは見えないのだ。

いま、そういう「積み上げる学習法」を獣医医療で確立しようと目論んでいる。
聞こえなかった音楽が聞こえるようになるように、見えないものが見えるようになり、さらなる高みへ進むことができるはず。

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つゆのはれま

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