はりねずみ通信

2015.07.10

何が大切か

人間の医療のはなしである。
手術による周術期死亡率が高く、「適切に治療されていなかったのではないか」という疑念のある事例が、最近のニュースで取り上げられている。
記事を詳しく読むと、担当した医師は多くの症例数を積みたかったのではないか、と推測されているようだ。
医療の世界では、どれぐらいの症例数があるかが、その医師の評価につながる。そのために、無理だと思われるケースにも手術を行ったのではないか。そう、疑われている。真偽はあきらかではないが、私は「そういうことは起こり得る」と思った。

私自身も、自分がどれだけ手術をしたかをまとめ、学会で発表したりする。
症例数が少ないと、説得力がないため、できるだけ多くのケースを集めたい。「症例数を積みたい」という欲望は確かに存在する。
また、獣医師である限りは、「よい獣医師」でありたいと思う。
病気の見極めがうまく、腕がいい。そう言われたい。

でもそれらは、厳密に言うと動物のためではなく、自分のエゴであろう。
難しいのは、心の中では動物のためにやっている、と本気で思っているので、自分のエゴに気がつかないことである。

だから先に書いた医療の話も、けっして人事ではない。
私でも同じ立場にいたら、患者さんのために懸命にやっている、と信じ切って、自らの欲望に気がつかないかもしれない。

もしかすると、多くの獣医師はそんなふうには思わず、純粋に動物のために頑張っているのかもしれない。でも、私の中にはそういったエゴイズムがどこかに潜んでいる。

ただ、それにはシンプルな解決法がある。
それは、動物と一緒に過ごすことだ。
無為な時間をいっしょにすごしていると、「どうして自分は獣医師をやっているのか」という単純なことを思い出すのである。

IMG_6820
すずしい

 

 

 

2件のコメント

  • 先日、PLDDの手術を受けました、大阪から伺いましたプッチ(チワワ)の飼い主です。質問コーナーから質問させていただこうと思っておりましたが、文字数がオーバーするため、こちらから失礼いたします。先日は、心臓病を患っているにも関わらず、麻酔にご配慮いただき、無事に手術を終えていただきまして、本当にありがとうございました。
    帰宅後、後ろ足をよろよろさせながらですが、何事もなかったかのように、お家の中を元気に歩き回っております。
    ただ一つ、気になることがあるのですが、帰ってから、後ろ足で体を掻くような仕草を、かなり頻繁にします。術前も、体を掻くようなしぐさはあったのですが、術後は異常に多いです。
    数歩歩いては、右後ろ足で体掻き、また数歩歩いては、今度は左後ろ足で体を掻くといった感じです。これを繰り返します。術後まもないので、神経に過敏に反応しているのでしょうか。ほっておいても大丈夫なのでしょうか。今のところ、痛みはないようです。

    • 大阪プッチママさん、先日は遠くからおつかれさまでした。プッチはよく頑張りましたね(^^)
      掻くような仕草はバリカン負けかもしれませんね。PLDDに起因するものではないと思います。
      少しするとおさまることが多いですが、続くときは連絡いただけるでしょうか。

  • 今日は、ありがとうございました。
    あんこの元気そうな顔を見たら安心しました。
    落ち着きがなく、がさつなあんこですが、
    私にとっては、唯一の存在です。 
    不思議な事に、御近所のどの犬とも仲良く出来ないワンコがいるのですが、あんこだけは、大丈夫なのです。
    どのワンコにも怒らないし、仲良く出来るいい子です。
    可愛んです(^^)と、馬鹿な飼い主と二人(犬)五脚で
    楽しく暮らせたら、幸せです。
    本当に、心配症で大袈裟な飼い主ですが、
    宜しくお願いします(^^)

    • きなこさん、いろいろ心配されたと思いますが、大丈夫でしょう。
      あんこちゃん、入院中もいい子でしたよ(^^)

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