はりねずみ通信

2016.06.22

わかりにくさ

ヴァレリー・ゲルギエフというロシアの指揮者がいて、とても注目している。
ショスタコーヴィチの交響曲などにすばらしい演奏が多い。難解と言われているこれらの曲を、高い知性を持ちつつ、肉声で語るように演奏するのである。
ゲルギエフの指揮は、独特である。
指揮棒は持たないか、爪楊枝くらいの長さの棒を持つ(これは本当の爪楊枝ではないか)。
リズムを示すための「打点」がわかりにくい。オーケストラ団員はどうやってフレーズの区切りを知るのか、疑問である。
あるインタビューでは、楽団員は「意外にわかりやすい」と答えていたが、そうだろうか。
私には、奏者がどうやって合わせるのか、不思議でならない。

おそらく指揮を見て合わせることが難しいので、奏者同士がお互いに目配せするように合わせているのだろう。
おのずと、楽団員の中に、ある緊張感が生まれる。
お互いをよく聴いていないと合わせられない。
また、指揮者が指揮棒でオーケストラを牽引する雰囲気ではないので、強い自発性をもってメロディーを歌うことになるだろう。
ヴァイオリンとチェロの掛け合い、管楽器と弦楽器でのフレーズの受け渡し・・。
そういったものが、押しつけられずに自然に表現される。そして、全体として生き物のような合奏になる。

ふと、リーダーとしてのあり方、を考える。
すべてを掌握し、コントロール下に置こうとするリーダーでは、ありきたりなことはこなせるかもしれないが、創造的な仕事は難しい。
一見わかりにくいくらいの指導力でいいのでは。

つまり、がんばりすぎるのも考えもの。

 

IMG_8427
昨日は診察が終わってから、現在の手術室の機器を別の部屋に移動した。
旧手術室と新手術室をつなぐ廊下の工事が本日あるからである。

 

IMG_8428
スタッフ総出でCアームや麻酔器などを移動。
ちょっと学園祭っぽい。

 

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